海外FXはA-BookとB-bookがあるっコ?
違いを解説するポン!
海外FXでは注文の処理方法として「A-Book」と「B-book」が利用されています。
国内FX業者はA-bookでは実現不可能なほど狭いスプレッドになっていますので、基本的にB-bookです。
B-bookでは「利益相反(トレーダーが利益を出すとFX会社の損失になる)」の状態が発生してしまうというイメージがあるため、トレーダーからの評判は悪いです。
そのため、A-bookの海外FX業者を利用したいというトレーダーのニーズは強いです。しかし、実際はどの海外FX業者がA-bookなのか、B-bookなのかを正確に知ることは難しいです。
業者がぼかしてくるからっコ
この記事では、A-book・B-bookについて以下の点から詳しく紹介していきます!また、マーケット・エクスキューションやNDD方式など、似たような文脈で使われる用語についても解説します。
- A-book・B-bookって何!?
- A-bookだと明言しない海外FX業者は怪しいの!?
- マーケット・エクスキューション、インスタント・エクスキューションとは!?
- NDD方式・DD方式とは!?
海外FX業者のA-book・B-bookの違いとは?
海外FX業者のA-book・B-bookの違いについて、まずは以下の点を紹介します!
- 注文をそのままリクイディティプロバイダーに流すのがA-book
- A-bookはコスト高
- ボーナス業者はB-book
- A-bookがマーケット・エクスキューション
注文をそのまま流すのがA-book
海外FX業者のA-book・B-bookの違いは、FX会社が注文をリクイディティプロバイダーにそのまま流しているかどうかです。
FX会社はユーザーから注文があったら即同じ注文をリクイディティプロバイダーに発注するため、顧客のトレードが損失になっても利益になっても関係ありません。そのため、利益相反がないと言われています。
一方、リクイディティプロバイダーに注文を出さないB-bookのブローカーでは、顧客のトレードが損失になるとFX会社の儲けになり、逆に顧客のトレードが利益になるとFX会社の損失になります。
FX会社がトレーダーの注文の相手方になる行為は「呑み行為」と呼ばれて嫌われています。
トレーダーがドル円の「買い注文」をした場合、トレーダーは円を売ってドルを買っています。FX会社がこの取引の相手方になる場合、FX会社は円を買ってドルを売っています。これが呑み行為です。
B-bookで利益相反の状態になっていたとしても、顧客が負けるようにFX会社が不利益な操作を行うとは限らないため、B-bookだからと言って詐欺ブローカーであるわけではありません。しかし、B-bookはトレーダーが「不正な操作をされるのではないか」との不安を持ちやすい形式だと言えます。
最近では、FX会社の注文はほぼ自動処理になっており、1秒以下で約定します。そのため、「人間のディーラーがいるかどうか」は関係ありません。
A-bookはコスト高
A-bookはコスト高の注文方法です。
というのも、リクイディティプロバイダーに発注するのに手数料が発生するからです。
国内FX業者はドル円で0.3Pips程度の非常に狭いスプレッドで取引できますが、この0.3Pipsは手数料を払ってリクイディティプロバイダーに注文を流すA-bookでは収益を上げるのが難しい水準になりますので、国内FX業者は基本的にB-bookと言われています。
ユーザーにはA-bookの方がウケがよいため、「注文を全て流している」というような記載をFX会社がしている場合もありますが、リクイディティプロバイダーがグループ企業で実質的には流していないというケースもあります。
ボーナス業者はB-book
海外FX業者の大きな魅力となっているボーナスですが、ボーナス業者はB-bookです。
ボーナスを使って損失が出た際、もし注文をすべてリクイディティプロバイダーに流していたとしたら、損失分は海外FX業者が自腹負担になってしまいます。
「海外FX業者のボーナスは損失分を海外FX業者が肩代わりしてくれる制度」と紹介されることがありますが、さすがに全ての損失を肩代わりしていては運営が成り立ちません。B-bookであれば、リクイディティプロバイダーに流していないのでそもそも損失が発生していないのです。
海外FX業者のボーナスはメリットとデメリットがあり、デメリットには「B-bookになる」ことも含まれます。
いいとこどりはできないっコ
A-book・B-bookのメリット・デメリット
忌み嫌っているトレーダーも多いB-bookですが、メリットもあります。
ここからは、A-book・B-bookのそれぞれのメリットをまとめます。(A-bookとB-bookは真逆の注文処理方法なので、他方のメリットが利用できないことがそのままデメリットになります。)
A-bookのメリット
A-bookのメリットは以下のようなものがあります。
- 利益相反がない
- 約定拒否・リクオートが発生しにくい
- 取引コストが安い傾向がある
A-bookの一番のメリットは、呑み行為がないため利益相反がないことです。また、約定拒否・リクオートも発生しにくくなっています。
ただし、スリッページは発生します。
リクイディティプロバイダーにそのまま流すということは、「リクイディティプロバイダーの側でどんなレートで約定しても文句を言えない」ということになります。
FX会社内で注文を処理するB-bookであれば、一定以上のスリッページが発生する場合は注文をキャンセルするという設定ができる場合もあります。
取引コストが低いのもA-bookの海外FX業者の特徴です。原則的に言えばA-bookの方がコスト高になるはずなのですが、A-bookを好むトレーダーはボーナスよりも取引コストを重視する傾向があるため、業界慣行としてA-bookの海外FX業者の方が取引コストが安くなっていることが多いです。
B-bookのメリット
B-bookの海外FX業者には以下のようなメリットがあります。
- ボーナスが利用できる
- 一定以上のスリッページで注文をキャンセルできる機能が使える
- スプレッドを狭くできる
先ほど説明した通り、A-bookでトレーダーの注文を全てリクイディティプロバイダーに流している状態でボーナスの負担を負ってしまうと経営が成り立ちません。そのため、B-bookの海外FX業者はボーナスを提供できることがメリットです。
また、一定以上のスリッページが発生すると注文をキャンセルできる機能が使えることもあります。
ボーナスなどのほかの要因でB-bookの海外FX業者のスプレッドは広めになることが多いですが、原則的にはB-bookはスプレッドを狭くできます。そのため、B-bookの国内FX業者のスプレッドは狭いですし、B-bookの海外FX業者の一部も狭いスプレッドを提供しています。
A-bookと明言しない海外FX業者は怪しい?
「A-bookなのか?」と聞いて「A-bookです」と答える海外FX業者は少ないです。そのため、「A-bookです」と答えてくれる海外FX業者が人気になる傾向がありますが、本当にその海外FX業者がほかの海外FX業者と比べて違いがあるのかどうかははっきりしません。
それには以下のような事情があります。
- ハイブリッド型が主流
- A-bookを詐称している可能性も
ハイブリッド型が主流
多くの海外FX業者は、完全なA-book、完全なB-bookではなく、「ハイブリッド型」を採用していると言われています。
統計上、FXはほとんどの人が負けるため、海外FX業者は全ての取引で「呑み行為」をすれば大きな利益を上げることができます。リクイディティプロバイダーに注文を出して手数料を支払う必要もありません。しかし、それはあくまで統計上の話なので、もしユーザーが全員大勝ちしてしまえばFX会社は破産してしまいますよね?
そのため、完全にB-book、つまり全ての取引で呑み行為をしている海外FX業者はむしろ少ないようです。
FX会社もリスク管理は重視しているポン!
一つの銘柄につき買いポジションと売りポジションの量が大きく偏ったらその分だけリクイディティプロバイダーに流したり、A-bookの口座とB-bookの口座を分けたりしてある程度はリスクヘッジをしています。
「一つの銘柄につき買いポジションと売りポジションの量が大きく偏ったらその分だけリクイディティプロバイダーに流す」という形式のB-bookを採用している場合、呑み行為で収益を上げようとしているわけではないですが、分類するとすればB-bookになってしまいます。
僕の個人的な見解ですが、「完全A-bookをうたっているがあまり取引条件のよくない会社」と「A-bookだと断言しないが、取引条件もよく約定力などの評判がよい会社」の2社があった際に、後者も選択肢に入れた方がよりよい海外FX業者が選べるのではないかと思います。
ちなみに、大手海外FX業者のExness(エクスネス)はA-bookではないと公言しています。
Exnessは、A-bookでもB-bookでもない「マーケットメイカー」だと主張していますが、マーケットメイカーの性質は一般的にB-bookとしてイメージされるものです。
A-bookを詐称している可能性も
海外FX業者としては、買いポジションと売りポジションの量が偏っていなければ会社内でリスクは相殺されるため、完全A-bookにする、つまり逐一全ての注文をリクイディティプロバイダーに流して手数料を支払うのは無駄とも言えます。A-bookなのかB-bookなのか海外FX業者に問い合わせをしても歯切れが悪い回答しか返ってこないことが多いですが、このような事情も理由です。
顧客ウケのためにあえてコスパの悪い完全A-bookにしている可能性もありますが、実際は一部B-bookのハイブリッド型なのにA-bookを詐称している可能性もあります。
完全A-bookを自称していても、リクイディティプロバイダーが自社グループで、実質的にB-bookと変わらないというのはよくある話です。
A-bookで取引したい人におすすめの海外FX業者
ここまで説明した通り、「リクイディティプロバイダーを自社グループにすることで、実質的にB-bookでもA-bookを詐称できる」という状況がある以上、A-bookかB-bookにこだわることにあまり意味がないとおわかりいただけたのではないでしょうか。
A-book・B-bookに関しては、「本当のところはわからない」という前提で海外FX業者を選ぶのがオススメですが、やはりどうしても気になるという方は、以下の情報を参考にするのがオススメです。
- cTrader採用海外FX業者を選ぶ
- ECN/STPと明記している海外FX業者を選ぶ
- 海外FX業者のSNS情報を確認する
cTrader採用海外FX業者を選ぶ
cTraderは、透明性の高さがウリの取引ツールです。もちろん、技術的にはcTraderでB-bookの運用をすることも不可能ではありません。
しかし、cTraderを使いたがるユーザーは透明性の高さやA-bookを重視していることは明らかなので、あえてcTraderを採用している海外FX業者は比較的透明性についての意識が高いと思われます。
ECN/STPと明記している海外FX業者を選ぶ
A-bookまたは部分的にA-bookを採用している海外FX業者は、ECNやSTPと自称していることが多いです。
ECNは「電子通信ネットワーク」の略です。
「Aさんが出したドル円の買い注文をFX会社が受ける」「Bさんが出したドル円の売り注文をFX会社が受ける」というのが従来の取引だとすれば、ECNは「Aさんが出したドル円の買い注文とBさんが出したドル円の売り注文のマッチングが行われる」という仕組みのものです。
参加者同士が取引するポン
STPは「ストレート・スルー・プロセシング」の略で、顧客の注文に手を加えずにリクイディティプロバイダーに発注することです。「Aさんが出したドル円の買い注文を、リクイディティプロバイダーにそのまま送る」という意味になります。
完全にECNやSTPなのであればA-bookと言えますが、一部でもECNやSTPを採用していたらこのように自称することが許されているような業界風潮がありますので、ECNやSTPを自称しているからと言って、完全A-bookとは限りません。
しかし、B-book主体の海外FX業者はそもそもECNやSTPを自称しないので、参考材料にはなります。
大手海外FX業者のXMTrading(エックスエム)は、ECNやSTPと紹介されているサイトもありますが、公式サイト内では自称していません。代わりに、人為的な介入をしていないことのみを意味する「NDD」を自称しています。
ちなみに、ECNやSTPを採用する口座タイプは手数料が外付けの場合が多いですが、手数料相当分をスプレッドに上乗せする処理もできるため、必ずしも手数料が外付けとは限りません。
海外FX業者のSNS情報を確認する
海外FX業者がユーザーの不利になるように取引を操作しているとすれば、それにはどのような方法を使っているでしょうか?
具体的には以下のようなものがあります。A-book・B-bookの海外FX業者をはっきり知るのが難しい以上、こうした情報をSNSなどで入手して参考にするのもおすすめです。
- (個別操作)スリッページの操作
- (個別操作)リクオート・約定拒否
- (全体操作)スプレッドの拡大
- (全体操作)ストップ狩りなどの価格の操作
スリッページの操作やリクオート・約定拒否などの個々の取引に介入する操作と、スプレッドの拡大・ストップ狩りなどレート全体に介入する操作が考えられます。
レート全体がおかしい場合SNSでさらされることが多いので、海外FX関連のフォローを増やしておけば情報を得ることができます。
自分の約定にだけ個別に操作されることが心配な方は、スリッページがどの程度発生しているのかをチェックしておくといいでしょう。決済ボタンを押したときの損益と実際の損益が大きく乖離することが続く場合は要注意です。
これらの条件に当てはまる海外FX業者でおすすめなのは、Axioryです。cTraderも採用しています。
A-book・B-bookとマーケット・エクスキューション、インスタント・エクスキューションの関係は?
A-bookやB-bookなどと似ている用語として、「マーケット・エクスキューション」や「インスタント・エクスキューション」があります。
完全に一致しているわけではありませんが、A-bookの海外FX業者は「マーケット・エクスキューション」になることが多いです。一方、B-bookは「マーケット・エクスキューション」になることも「インスタント・エクスキューション」になることもあります。
マーケット・エクスキューションの方は、市場で約定できる価格で約定する方式で、スリッページが発生する可能性があります。一方インスタント・エクスキューションは、基本的に注文を出したときのレートで約定します。その代わり、注文を出した時点から大幅にレートがずれてしまうと、リクオートが発生します。
マーケット・エクスキューションなのかインスタント・エクスキューションなのかはMT4・MT5上の注文画面で確認できます。
「タイプ」の部分にカウントダウン注文と書かれていたら「マーケット・エクスキューション」、「ストリーミング注文」と書かれていたら「インスタント・エクスキューション」です。
A-book・B-bookとNDD方式・DD方式の関係は?
NDD方式は、「ノーディーリング・デスク」の略で、ディーラーによる人為的な介入がないことを意味します。DD方式はその逆で、ディーラーがいるという意味です。
A-bookは常にNDD方式になりますが、B-bookはNDD方式とDD方式の場合があります。リクイディティプロバイダーに流す・流さないの判断をアルゴリズムで行っている場合は「ディーラーがいない」という意味でNDD方式を名乗れるからです。
最近はどの海外FX業者でも取引が自動化されていますので、海外FX業者がNDD方式を自称していることは取引の安全性の参考にはなりません。
まとめ
海外FXにはA-BookとB-bookがありますが、大半の業者はハイブリッド型だと思われます。
一部「完全A-book」を自称している海外FX業者もありますが、それが信頼できるかどうかも怪しいです。完全A-bookではないと言っている海外FX業者の方が正直な可能性もあります。
あまりそこで判断することはおすすめしませんが、A-bookだと言い切ってくれる海外FX業者を使用したいというニーズもあるでしょう。
この記事には僕が知っている限りの情報を詰め込みましたので、少しでも参考にしていただけると幸いです。
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