米大手証券会社「リーマン・ブラザーズ」が2008年9月に破綻した事件、通称「リーマン・ショック」。
その原因は、サブプライムローン問題にあったというのはもはや周知の事実。
では、サブプライムローン問題とは具体的にどういう問題だったのか。
何が原因で、どんな流れでリーマン・ショックを引き起こしたのか。
このあたりについて、できるだけかみ砕きつつわかりやすく解説していきます。
サブプライムとは
まず、サブプライムとは一体何なのか?
プライムとは、ローンの返済に問題のない優良顧客のことを指します。
そして、「プライム層の下のランク」のことをサブプライムと呼びます。
つまりサブプライム層というのは、社会的信用度が低く、通常の融資が受けられない人たちのことを指し、サブプライムローンとは、そうしたサブプライム層向けのローンのことです。
ちなみに、一概に「低所得者」のことを指すわけではなく、あくまで「信用」に対する格付けなので、資産的には問題ないが一度もクレジットカードを利用したことがない、という人などもサブプライム層に入ります。
タンス預金としてものすごい額の貯金があっても、クレジットカードを使ったことがなければ、サブプライム層として扱われてしまうわけです。
まあ、そんな人は稀ですので、基本的にはサブプライムローンと言えば「低所得者向けのローン」というイメージになります。
サブプライムローンの拡大
では、なぜサブプライムローンがこんなに広がってしまったのか。
まず、社会的信用度が低く家など買えない層に対して、
「最初の数年間は金利を優遇する」
「最初は金利のみの支払いでOK」
といった特典でサブプライム層の人々に家を購入させようと、住宅ローン会社たちが強烈にアピールしました。
さらに、「不動産価値が上がるから、それを担保に借り入れを行なえるし、金利の安いプライムローンへの借り換えもできる」といった説明を繰り返し、サブプライム層に安心感を与えていきました。
これにより、自分の返済能力を超えたローンを組んでしまう人が続出したのです。
さらには、半ば強引に説得されてローンを組まされてしまった人もいたのだとか。
こうして一大住宅ブームが起こり、サブプライムローンは拡大していきました。
様々なサブプライムローン絡みの金融商品が誕生
契約数がうなぎのぼりに上昇していったサブプライムローン。
しかし、そのローンの対象の多くが「経済的信用度の低い人たち」だったため、リスクも高かったのです。
そこで住宅ローン会社は、貸し倒れのリスクを分散するために、このサブプライムローンの債権を次々と証券化し、金融機関や証券会社などに売却しようとしました。
もちろん、ただ証券化したわけではありません。
単品のサブプライムローンを一つ一つ証券化しても、いくら利回りが良いとはいえリスクの方が圧倒的に高く、魅力のない金融商品にしかなりませんので。
しかし、多数のサブプライムローン債権を合体させれば話は別。
例えば、1人分のローン契約の証券を買っても、その人が返済不能に陥れば元金すら回収できなくなり、大損してしまいます。
しかし、100人分のローン契約がまとめられた証券ならば、仮に10人が返済不能に陥っても、その他90人がきっちりと金利込みで返済してくれれば充分元が取れます。
つまり、多数のサブプライムローンをごちゃまぜにして証券化することにより、「リスクよりも利回りの方が勝る金融商品」と判断されやすくなるわけです。
他にも、他の金融商品と組み合わせて証券化する、というようなことも行なわれていました。
なんとか優れた金融商品に見せかけようと必死だったのでしょう。
このようにして、様々なサブプライムローン絡みの金融商品が生まれたのです。
これが後の悲劇へと繋がるのですが・・・
これだけいろいろなものをごちゃまぜにされたら、その証券の正体・信用度など何もわからなくなりますから・・・
サブプライムローン崩壊のきっかけは住宅バブル
住宅ローン会社は、この証券化した金融商品をガンガン売ろうとしました。
売ってしまえば、リスクはすべて購入した証券会社や金融機関へ移るからです。
不運だったのは、この証券化された債権に対してアメリカの権威ある格付け会社が高いランクを設定してしまったこと。
高利回りな商品であること。
そして、信用ある格付け会社から高いランクを付けられたこと。
この2つが相まって、世界中の証券会社や金融機関がサブプライムローン関連の証券を買い漁っていったのです。
当時は住宅バブルの真っ最中で、しかも「土地は下がらない」という土地神話もあったため、サブプライムローンが絡んだ証券が世界中でどんどん購入され、拡大していきました。
住宅バブル崩壊
しかし、こうした実体のない経済成長、いわゆるバブルは、いつかははじけるもの。
2006年頃、米金融当局による金融引き締めにより、ついに不動産価格の上昇が鈍化し、さらには下落を始めます。
こうなってくると、困るのは実際に住宅バブルを下支えしていたサブプライム層。
彼らが住宅を購入し、支払いをしていたのですから。
サブプライム層は、「必ず土地の価格が上がるから」と吹き込まれてローンを組んでいます。
実際、土地を担保に借り入れをして返済に充てていた人も多数いました。
つまり、土地の価格が下落してしまうようでは、返済などとてもできないわけです。
このサブプライムローンには完済の義務がなく、それまで払ったお金さえ諦めればOKという性質のローンだったことも災いし、返済に行き詰った人たちは返済を放棄していき、次々とローンが焦げ付いていきました。
焦げ付き多発は、当然ながらローン会社の破綻を招きます。
そして、サブプライムローン関連の証券価格が下落し、これらの証券を購入した世界中の証券会社や金融機関などに多大な損害が生じていったのです。
そして訪れた大不況
サブプライムローン絡みの金融商品は、当初格付けが高かったこともあって、世界中の金融機関が買っているのですから被害は甚大。
あっという間に、世界中の機関の経済状態を圧迫し始めました。
もはや単なる不良債権と化してしまったサブプライムローン絡みの証券。
この煽りを受けて、力尽きていく企業が続々と現れます。
そしてついには、当時米国証券業界第4位にいた「リーマン・ブラザーズ証券」までもが、2008年9月15日に事実上破綻してしまったのです。
サブプライムローン問題のFXへの影響
サブプライムローン問題は為替市場に大きな影響を与えました。
為替相場の急激な変動
2007年8月には、それまでの円安傾向から一転して急激な円高が進行し、8月17日には1年2カ月ぶりに1ドル=111円台を記録しました。この急激な円高は、「円キャリー取引」の解消が主な要因でした。投資家が損失を穴埋めするために円建ての借入金を返済する必要があり、大量の円買いが発生したのです。
個人トレーダーのFX取引が普及し始めたのは2000年頃からです。2007年にはFXトレーダーの数はかなり増えていたため、影響も大きいものでした。
市場の流動性低下と信用収縮
サブプライムローン問題は、金融市場全体の流動性を低下させ、信用収縮をもたらしました。欧州の短期金融市場では「流動性不安」が拡大し、銀行間で資金をやり取りするインターバンク市場では資金の出し手が極端に少なくなりました。この状況は、FX市場にも波及し、取引の縮小や価格の乱高下をもたらしました。市場参加者のリスク回避姿勢が強まり、FX取引においても慎重な姿勢が広がったのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
以上が、サブプライムローン問題がリーマン・ショックへと繋がっていく流れでした。
そもそも無理がある構造だったんですよね。
サブプライムローンは、最初の数年間こそ返済が優遇されていましたが、その分一定期間を過ぎると急に返済額が跳ね上がる、という性質のもの。
今後所得が増加していく、という見込みがある場合には理にかなった構造とも言えますが、所得の増加が見込みにくいサブプライム層に、「最初は返済額が低く、その後にしわ寄せがきて多額の返済になる」というような性質を持つローンを背負わせて、破綻しないわけがないのです。
こうなってしまったのも、結局は企業や金融機関が目先の利益に走ったから。
いくら住宅バブルの真っ最中で浮かれていたとはいえ・・・
目先の金儲け主義ではなく、恒久的に円満にいくビジネスを推し進めて欲しいものです。
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