- 「もしビットコインを5年前に買っていたら、今頃いくらになっていたんだろう?」
- 「5年前って、そんなに安かったの?今からじゃもう遅いのかな?」
- 「過去の価格を知っても意味ないかもしれないけど、今後の投資の参考にはなるのかな?」
ビットコインの価格は、この数年で劇的に変動しました。ニュースやSNSで、ビットコインによって大きな利益を得た「億り人」の話を見かけると、「もし自分もあの時、5年前にビットコインを買っていたら…」と、つい想像してしまう方も多いのではないでしょうか。特に、過去の価格を知ると、「あの時買っておけばよかった」という後悔や、「今から始めてももう遅いのでは?」という不安を感じてしまうかもしれません。
しかし、過去の価格推移や出来事を振り返ることは、単なる「たられば話」で終わるわけではありません。そこには、現在のビットコイン投資を考える上で、非常に貴重な教訓やヒントが隠されています。
この記事では、「もしビットコインを5年前に買っていたら、どうなっていたのか?」という興味深いテーマについて、具体的な価格データをもとにシミュレーションするとともに、その背景にあった出来事、そして過去から学ぶべき投資のヒントを、仮想通貨初心者の方にも分かりやすい言葉で解説します。難しい市場分析や専門用語は最小限に、「これだけ知っておけば、あなたは過去のデータから学び、現在の投資判断に活かせる」というポイントに絞ってお伝えします。
この記事を読めば、ビットコインの過去の価格変動に対する理解が深まり、冷静な視点で現在の投資について考えるためのヒントが見つかるはずです。
5年前のビットコインはどんな状況だった?(2020年頃の市場)
まず、今から5年前、つまり2020年頃のビットコイン市場がどのような状況だったのかを振り返ってみましょう。この時期は、その後の大きな価格上昇に向けた、重要な転換点とも言える時期でした。
2017年バブル崩壊後の停滞期から回復期へ
2017年末から2018年初頭にかけて、ビットコインは最初の大きなバブルを経験し、価格が急騰した後、暴落しました。その後、仮想通貨市場は「冬の時代」とも呼ばれる長い停滞期に入りました。
2020年頃のビットコイン市場の状況
- 価格帯: 2020年の初頭、ビットコインの価格は1BTCあたり約80万円〜100万円前後で推移していました。その後、3月のコロナショックで一時的に50万円台まで急落しましたが、年末にかけて回復し、200万円を超える水準まで上昇しました。
- 市場の雰囲気: 2017年のバブル崩壊の記憶がまだ新しく、一般の投資家の間では「仮想通貨は終わった」という見方も少なくありませんでした。しかし、水面下では、その後の大きな変化に向けた動きが始まっていました。
- 機関投資家の参入: MicroStrategy(マイクロストラテジー)社のような大手企業が、会社の資産としてビットコインを購入し始めるなど、機関投資家がビットコイン市場に参入し始めた時期でもあります。
- DeFiの台頭: イーサリアムブロックチェーン上で、分散型金融(DeFi)のプロジェクトが本格的に注目され始め、仮想通貨市場全体の活性化に繋がり始めていました。
このように、5年前の2020年は、市場の停滞期が終わり、次の大きな上昇相場(いわゆる「第二次バブル」)への助走期間のような時期でした。当時ビットコインを購入していた人は、その後の大きな価格上昇の恩恵を受けることになります。
もし5年前に10万円分買っていたら?(価格シミュレーション)
では、もし5年前に、例えば10万円分という金額でビットコインを購入していたとしたら、2025年現在のビットコインの価格(仮に1BTC=700万円とします)で、その価値は一体いくらになっていたのでしょうか?
5年前の投資シミュレーション(仮定)
- 5年前(2020年5月頃)の価格: 仮に、1 BTC = 100万円だったとします。
- 10万円での購入数量: 100,000円 ÷ 1,000,000円/BTC = 0.1 BTC
- 現在の価値(1 BTC = 700万円と仮定): 0.1 BTC × 7,000,000円/BTC = 70万円
このシミュレーションでは、5年前に10万円分購入したビットコインが、約7倍の70万円になっていた計算になります。これは、過去の黎明期のような「何千倍」といった爆発的なリターンではありませんが、それでも伝統的な金融商品と比較すれば、非常に高いリターンと言えるでしょう。
この結果は、「あの時買っておけばよかった」と感じるのに十分な数字かもしれません。しかし、重要なのは、この5年間、何事もなく価格が上がり続けたわけではない、という点です。
5年間の価格変動と主な出来事(簡単な道のりではなかった!)
5年前にビットコインを購入していたとしても、それを「70万円」になるまで保有し続けることは、決して簡単な道のりではありませんでした。この5年間で、ビットコインの価格は激しい乱高下を繰り返し、市場を揺るがす様々な出来事がありました。
2021年の大高騰(第二次バブル)
2020年末から始まり、2021年にはビットコイン価格が大きく高騰する「第二次バブル」が到来しました。
2021年の主な出来事
- 機関投資家の本格参入: MicroStrategy社に加え、Tesla(テスラ)社がビットコインを大量に購入したというニュースが市場を後押ししました。
- DeFiとNFTのブーム: イーサリアムを中心としたDeFi(分散型金融)市場が急拡大し、さらにNFT(非代替性トークン)が大きなブームとなったことで、仮想通貨市場全体への関心と資金流入が加速しました。
- 価格の急騰: ビットコインの価格は、2021年を通じて大きく上昇し、一時的に1BTCあたり700万円を超える史上最高値を記録しました。
- 市場の過熱感: この時期、多くの人が「乗り遅れるな(FOMO)」と市場に参入し、SNSなどでは「億り人」の報告が相次ぎました。
もし5年前に10万円分購入したビットコイン(0.1 BTC)を持っていれば、この時期にはその価値が70万円以上に達していたことになります。多くの人が、この時点で利益を確定させたいという誘惑に駆られたでしょう。
2022年の大暴落と「冬の時代」
しかし、2021年の熱狂的なバブルの後、2022年には市場が一転し、価格が大きく下落する厳しい「冬の時代」が訪れました。
2022年の主な出来事
- 世界的な金融引き締め: アメリカを始めとする各国の中央銀行が、インフレを抑制するために利上げなどの金融引き締め政策を開始し、リスク資産である仮想通貨市場から資金が流出しました。
- 大手プロジェクトの破綻: ステーブルコイン「Terra(LUNA)」の崩壊や、大手仮想通貨取引所「FTX」の経営破綻といった、市場の信頼を揺るがす大きな事件が相次いで発生しました。
- 価格の暴落: これらの要因が重なり、ビットコインの価格は大きく下落し、一時は1BTCあたり200万円台まで落ち込みました。
- 市場の悲観論: 市場全体が悲観的な雰囲気に包まれ、「仮想通貨はもう終わりだ(オワコン)」といった声も多く聞かれました。
もし5年前に10万円分購入したビットコイン(0.1 BTC)を持っていたとしても、この時期にはその価値が20万円台まで下落していたことになります。70万円以上の価値があったものが、一気に3分の1以下になってしまったのです。この暴落に耐えきれず、損失を確定させてしまった(狼狽売りしてしまった)人も少なくなかったでしょう。
2023年からの回復、そして2024年の史上最高値更新
厳しい冬の時代を経て、2023年からは市場が徐々に回復し、2024年には再び大きな上昇相場が訪れました。
2023年〜2024年の主な出来事
- ビットコインETFの承認: アメリカで、ビットコインの現物ETF(上場投資信託)が承認されたことが、市場にとって非常に大きなポジティブなニュースとなりました。これにより、機関投資家がさらにビットコインに投資しやすくなりました。
- 半減期への期待: 2024年に訪れるビットコインの「半減期」(新規発行量が半減するイベント)が、過去の経験則から価格上昇に繋がるのではないか、という期待感が高まりました。
- 価格の再上昇と史上最高値更新: これらの要因に後押しされ、ビットコインの価格は再び大きく上昇し、2024年には1BTCあたり1000万円を超える史上最高値を更新しました。
このように、この5年間でビットコインの価格は、「停滞→急騰→暴落→回復→再急騰」という、非常に激しいジェットコースターのような動きを経験してきました。5年前に購入したビットコインを、ただ「持っているだけ」で7倍になったわけではなく、その間に何度も売却したくなるような誘惑や、恐怖に耐える必要があったのです。
過去のデータから学ぶべき投資のヒント
「もし5年前に買っていたら…」という過去を振り返ることで、現在のビットコイン投資に活かせる、いくつかの重要な教訓が見えてきます。
教訓1:「ガチホ」は言うほど簡単ではない(精神的な強さ)
過去5年間の価格変動を見てわかるように、一度購入したビットコインを、価格が何倍にもなったり、逆に3分の1になったりする中で、長期的に保有し続ける(いわゆる「ガチホ」)ことは、非常に強い精神力を必要とします。
「ガチホ」を成功させるために
- ビットコインへの深い理解と信念: なぜビットコインに価値があるのか、その将来性をどう信じているのか、といった自分なりの「投資の軸」がなければ、価格の乱高下に耐えることはできません。
- リスク許容度の把握: 自分がどれくらいの価格下落までなら、冷静に耐えられるのか、という「リスク許容度」を事前に把握しておくことが重要です。
- 余裕資金での投資: 生活に影響のない余裕資金で投資していれば、価格が下落しても精神的な余裕を持つことができます。
「買ったら放置しておけば儲かる」という単純なものではなく、長期保有には精神的な強さと、プロジェクトへの深い理解が必要なのです。
教訓2:「いつ買うか」より「どう買うか」が重要(時間分散)
過去5年間のどのタイミングで購入したとしても、2022年の大暴落を経験しています。完璧なタイミングで買うことは不可能です。それよりも、「どのように買うか」という戦略の方が、リスク管理の上で重要になります。
時間分散の有効性
- 積立投資(ドルコスト平均法): 一度に大きな金額を投じるのではなく、毎月一定額をコツコツと購入していく「積立投資」であれば、価格が高い時も安い時も購入するため、購入単価が平準化され、高値掴みのリスクを軽減できます。
- タイミングを悩まなくて良い: 「いつ買えばいいんだろう?」と市場の動きに一喜一憂する必要がなく、感情的な判断を排除し、淡々と投資を続けられます。
特に初心者の方や、投資に時間をかけられないずぼらさんにとっては、「いつ買うか」で悩むよりも、「積立投資で時間を分散させる」という戦略の方が、はるかに現実的で、成功しやすい可能性があります。
積立投資のメリットについて、もっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事もおすすめです。
▶ 【ほったらかし投資】仮想通貨の「積立」がずぼらさん最強な理由
教訓3:市場はサイクルを繰り返す?(半減期とバブル)
過去のビットコイン市場は、約4年ごとに訪れる「半減期」というイベントを中心に、大きな価格サイクルを繰り返してきた、という見方があります。
ビットコインの市場サイクル(アノマリーとして)
- 半減期: 新しいビットコインの発行量が半分になるイベント。これにより、市場への供給量が減少し、希少性が高まるため、価格上昇の要因になると考えられています。
- 過去のパターン: 過去3回の半減期(2012年、2016年、2020年)の後、約1年〜1年半後にビットコイン価格が大きく上昇し、史上最高値を更新するというパターンが繰り返されてきました。
- 2024年の半減期: 2024年4月にも4回目の半減期が到来しました。過去のパターンに従えば、2025年に向けて価格が上昇する可能性がある、と期待する投資家も多くいます。
ただし、これはあくまで過去の経験則(アノマリー)であり、将来も同じパターンが繰り返される保証は全くありません。 過去のデータは参考にはなりますが、それを鵜呑みにせず、様々なリスクを考慮した上で投資判断を下すことが重要です。
ビットコインの5年前と今に関するQ&A
ここでは、ビットコインの過去と現在、そして未来に関して、初心者の方が抱きがちな疑問に、Q&A形式でまとめました。
5年前にビットコインを買うのは簡単だった?
いいえ、今よりも簡単ではありませんでした。
- 取引所の信頼性: 2020年頃も、既にコインチェックやbitFlyerといった国内取引所は存在していましたが、2018年のハッキング事件などの影響もあり、現在ほど仮想通貨取引所に対する社会的な信頼性が確立されていませんでした。
- 情報の少なさ: 現在に比べて、初心者向けの情報や解説サイト、書籍なども少なく、情報を集めるのが大変でした。
- 市場の雰囲気: 2017年のバブル崩壊後の停滞期であり、「仮想通貨はもう終わり」といった悲観的な見方も多く、その中で投資を始めるには勇気が必要でした。
現在の方が、取引所のセキュリティが向上し、情報も豊富で、少額から簡単に始められる環境が整っていると言えるでしょう。
今からビットコインを買っても遅い?
「5年前のような大きなリターンは得られないかもしれない」という意味では、「遅い」と感じるかもしれません。しかし、「投資を始めること自体が遅い」ということはありません。
今から始めることの意義
- デジタルゴールドとしての価値: ビットコインが「価値の保存手段」として広く認識され始め、機関投資家の参入も続いている現在、長期的な視点での価値上昇を期待する投資は、依然として有効な可能性があります。
- 少額から始められる: 数百円からでもビットコインを保有でき、その技術や市場に触れることができます。
- 将来への備え: 将来、ビットコインがより社会に浸透した場合に備えて、資産の一部として保有しておく、という考え方もできます。
「遅いかどうか」を過去と比較して後悔するよりも、「今」の状況を理解し、あなた自身のリスク許容度に合わせて、無理のない範囲で始めるかどうかを判断することが重要です。
もし「仮想通貨はやめておけ」という意見が気になる場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶ 「仮想通貨はやめとけ」って本当?よくある不安を解消します
5年後、ビットコインの価格はどうなっている?
5年後のビットコインの価格がどうなっているかを、正確に予測することは誰にもできません。
- ポジティブな予測: ビットコインETFへのさらなる資金流入、世界的なインフレの進行、新興国での普及などにより、現在の価格よりも大幅に上昇している、と予測する専門家もいます。
- ネガティブな予測: 各国の規制強化、環境問題の深刻化、より優れた新しい仮想通貨の台頭などにより、価格が停滞したり、下落したりする可能性を指摘する専門家もいます。
将来の価格は、これらのポジティブな要素とネガティブな要素がどのように作用するかによって決まります。未来を予測しようとするのではなく、様々な可能性を考慮し、リスク管理を徹底した上で投資に臨む姿勢が大切です。
まとめ
今回は、「もしビットコインを5年前に買っていたら?」というテーマから、過去の価格データ、そこから学ぶべき投資のヒントについて解説しました。
- 5年前にビットコインを購入していた場合、2021年の大高騰と2022年の大暴落という激しい価格変動を経験しつつも、2025年現在まで保有し続けていれば、非常に高いリターンを得られた可能性がある。
- しかし、その過程は簡単なものではなく、「ガチホ」を続けるには強い精神力と、ビットコインへの深い理解が必要だった。
- 過去のデータから学ぶべき教訓は、
- 「ガチホ」は言うほど簡単ではない。
- 「いつ買うか」より「どう買うか(時間分散)」が重要。
- 市場はサイクルを繰り返す可能性があるが、過信は禁物。
- 初心者や、タイミングを計るのが苦手な「ずぼらさん」には、高値掴みのリスクを軽減し、手間をかけずに長期投資が可能な「積立投資」が非常におすすめ。
- ビットコイン投資は「今からでも遅い」と決めつけず、現在の市場環境と、あなた自身のリスク許容度に基づいて、無理のない範囲で始めることが重要。
「あの時買っておけば…」という後悔は、投資の世界ではつきものです。しかし、過去を振り返り、そこから得られる教訓を、あなたのこれからの投資に活かすことができれば、その「たられば話」は非常に価値のあるものになります。この記事が、あなたがビットコイン投資と賢く付き合っていくための一助となれば幸いです。
もし、あなたがこれから初めて仮想通貨の取引を始めるなら、その一番ラクな方法を解説したこちらの記事も、きっと役に立つはずです。