Bybitの統合取引アカウントとは? 利息・返済手数料などデメリットの確認は必須!

Bybit(バイビット)では、2023年より新しいタイプのアカウント「統合取引アカウント(UTA)」が導入されています。10月以前にアカウントを開設したユーザーは、旧タイプのアカウントである「標準アカウント」を引き続き利用できますが、統合取引アカウントへの移行案内が行われています。

そこで気になるのは、従来の標準アカウントとの違いや、統合取引アカウントのメリット・デメリットではないでしょうか。

らっこ

複雑な仕組みだからよく確認しよう!

一言で表現すると、統合取引アカウントは「便利になる」というメリットがあるものの、リスク管理や利息・返済手数料などのコスト面で不利になる可能性があるものです。

当記事ではBybitの統合取引アカウントの詳細や、標準アカウントとの違いを中心に解説していきます。デメリットについても詳しく紹介していますので、よく確認することをおすすめします!

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目次

Bybitの統合取引アカウント(UTA)とは?

Bybit統合取引アカウント

Bybitの統合取引アカウント(UTA)の概要について、以下の内容を深掘りしていきます。

  • 2023年に標準アカウントから変更
  • 現物・デリバティブが共通アカウントに
  • 保有仮想通貨をドル建てで証拠金にできる

それぞれ、順番に解説していきましょう。

2023年に標準アカウントから変更

Bybitの統合取引アカウントは、2023年までにデフォルトで採用されていた標準アカウントからリニューアルしたアカウントです。

統合取引アカウントの運用は、2023年1月から開始されました。

2023年10月1日から新たに登録したユーザーは、統合取引アカウントがデフォルトで開設されます。それ以前に口座を開設した標準アカウントのユーザーは、任意で統合取引アカウントへ移行が可能です。

らっこ

一度移行すると標準アカウントには戻せないから注意だよ!

従来の標準アカウントでは、取引のジャンルごとに専用アカウントに切り替えてトレードをする必要がありました。一方、統合取引アカウントでは、一括で取引活動を管理できます。

統合取引アカウントは、以下3種類のアカウントで構成されています。

  • 資金調達アカウント:暗号資産と法定資産の入出金を管理する専用のアカウント
  • 統合取引アカウント:複数の現物・デリバティブを一括管理できるアカウントカウント
  • インバースアカウント:統合取引アカウント利用者がインバース契約の取引を行うために特化したアカウント

従来の標準アカウントと比較すると、シンプルに管理・取引ができるのも統合取引アカウントの特徴です。

現物・デリバティブが共通アカウントに

統合取引アカウントは、現物・デリバティブを1つのアカウントで一括管理できます

従来の標準アカウントで現物・デリバティブをトレードするためには、以下の専用アカウントを別途作成する必要がありました。

  • 現物アカウント
  • デリバティブアカウント
  • USDCデリバティブカウント

一方で、統合取引アカウントは、現物・デリバティブを取り扱う専用アカウントを新たに作成する必要がありません。

1つのアカウントで、現物・デリバティブの取引・管理ができます。

保有仮想通貨をドル換算で証拠金にできる

統合取引アカウントは、保有している仮想通貨をドル換算で証拠金にしてトレードができます

USDT無期限契約ならUSDT、USDC契約ならUSDCなど、Bybitの取引商品にはそれぞれ証拠金にできる仮想通貨が指定されています。

統合取引アカウントでも、トレードするには指定の仮想通貨を証拠金として保有していなければいけないという条件は同じですが、別の仮想通貨を担保にして指定の仮想通貨を借り入れることで、別の仮想通貨を証拠金にすることができます。

証拠金として必要な仮想通貨にわざわざ変換する手間が必要なく、値上がり益を狙いながらデリバティブ取引ができるのが統合取引アカウントのメリットですね。

たぬき

稼げるチャンスが増えるね

ただし、この換算はある銘柄を取引するのに本来必要な仮想通貨の量(USDT無期限契約ならUSDT)が不足すると自動的に行われてしまい、利息がかかりますので注意が必要です。

▼ほかの仮想通貨を担保にすると利息がかかる

Bybitの統合取引アカウントのメリット

Bybit統合取引アカウント

統合取引アカウント(UTA)を利用する具体的なメリット例に関して、以下3つの点を解説していきます。

  • 振替の手間が無い
  • 他の取引商品の含み益を証拠金にできる
  • ポートフォリオマージンが利用可能
  • 現物マージン取引ができる

それぞれ、順番に紹介していきましょう。

振替の手間が無い

統合取引アカウントでは、振替の手間を省いて効率的にトレードが可能です。

標準アカウントでは、USDT無期限契約取引などの取引を実施する場合、専用アカウントへ振替をする工数が伴いました。保有しているビットコインを証拠金にしてUSDT無期限契約を取引する場合、以下の3つの手順が必要になります。

  • 現物アカウントにビットコインを入れる
  • 現物取引でUSDTと交換する
  • デリバティブアカウントにUSDTを入れる

一方、統合取引アカウントは、保有する現物を直接デリバティブ取引に利用できます。

現物を保有するアカウントと取引に利用するアカウントがそもそも同じなので、専用アカウントへ振り返る手間を省き、すぐに取引ができます。

他の取引商品の含み益を証拠金にできる

統合取引アカウントでは、他のジャンルの取引商品の決済されていないポジションの含み益を証拠金として活用できます

含み益を証拠金として利用できるのは仮想通貨取引所では一般的ですが、統合取引アカウントでは、たとえばUSDT無期限契約の含み益を証拠金にしてUSDCオプションの取引をするといったようなことも可能です。

証拠金が増えると、新規ポジションの発注も可能ですし、ロスカットが発動するタイミングを遅くすることもできます。

標準アカウントでUSDT無期限契約の含み益を証拠金にしてUSDCオプションの取引をしようとすると、一旦ポジションを決済してアカウント間の資金移動を行うという手間が発生していました。統合取引アカウントでは、ポジションの決済を待たずに証拠金として利用できます。

ポートフォリオマージンが利用可能

統合取引アカウントでは分離マージン・クロスマージンに加え、ポートフォリオマージンが利用できます

従来の標準アカウントでは、分離マージンとクロスマージンの2種類だけに対応していました。

ポートフォリオマージンとは取り扱い商品全てを対象に、ポジションリスクを計算して必要証拠金を決定する機能です。

最新のアルゴリズムを用いるため、必要証拠金を引き下げられる可能性があるのもポートフォリオマージンの特徴です。

ポートフォリオマージンの計算方法は非常に複雑です。利用を検討している方は、Bybit公式サイトのポートフォリオマージンの証拠金計算をご確認ください。

現物マージン取引ができる

現物アカウントにある資産を担保にしてレバレッジをかけた取引ができる「マージン取引」は、統合取引アカウントの導入により、統合取引アカウントでしか取引できないようになりました。

マージン取引をしたい方は、統合取引アカウントへの更新が必須です。

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Bybitの統合取引アカウントのデメリット

統合取引アカウント(UTA)のメリットを紹介したところで気になるのは、利用前に押さえておきたいデメリットではないでしょうか。

そこで統合取引アカウントを利用するデメリットに関して、以下の点を深掘りしていきます。

  • リスク管理がしづらくなる
  • 仮想通貨を担保にすると利息がかかる
  • 返済手数料がかかる
  • ロングとショートに同一のレバレッジ設定が必要

それぞれ、順番に解説していきましょう。

リスク管理がしづらくなる

統合取引アカウントはデリバティブ取引をした際のリスクが、現物も含めた保有資産全体になります。

USDT無期限契約などのデリバティブ取引や現物マージン取引には、口座の資金が一定以下になるとポジションが強制決済されるロスカットの仕組みがあります。

100倍などの高いレバレッジで取引していた場合、ロスカットが発動すると、口座の資金のほとんどがなくなってしまうこともあります。

らっこ

資金量に対して適切なポジションサイズが大事だね

統合取引アカウントでは、証拠金が足りなくなると現物も含めた保有資産が証拠金に充当されます。そのため、長期保有しようとしていた現物が、デリバティブ取引のロスカットに巻き込まれて強制決済されてしまうリスクがあります。

これを避けるためには、あるポジションで生じる可能性のある損失を限定できる「分離マージン」を設定してする必要があるため、むしろ手間が増えてしまうかもしれません。

仮想通貨を担保にすると利息がかかる

Bybitの統合取引アカウントは、ほかの仮想通貨を担保にして借入ができますが、利息が発生します

借入システムは自動借入となっており、証拠金が不足すると自動で行われます。手動では行えません。

自動借入が発生するタイミングは、以下のとおりです。

  • トレードでウォレット残高が減少した場合
  • 無期限・先物契約で含み損が発生した場合
  • USDCオプションのポジション価額が下落した場合
  • 現物マージン取引機能が有効化されており、マージン取引を実行した場合

借入をすると、利息は1時間ごとに発生し支払いが求められます。

統合取引アカウントで仮想通貨を担保にする場合は、自動借入で想定以上の利息が発生する恐れがあるため注意しましょう。

返済手数料がかかる

統合取引アカウントでは、仮想通貨を担保に借入を行った場合、返済の際に「返済手数料」が発生してしまいます。

たとえば、ビットコインを担保にUSDT無期限契約を行う場合で考えると、「USDTを借りてUSDTを返す」形になりますので、返済に充てる仮想通貨からUSDTに変換する手数料として返済手数料が発生するとのことです。

らっこ

かなりコストがかかるんだね

ロングとショートのレバレッジが同じに

統合取引アカウントのヘッジモードでは、ロングとショートの両方に対して異なるレバレッジ設定ができません

標準アカウントのポジションモードのヘッジモードは、ロングとショートで別々のレバレッジ設定が可能です。

例えば、ロングとショートで異なるレバレッジ設定で両建てポジションを持ちたいシチュエーションでは、残念ながら統合取引アカウントでは別々で設定できません。

そのため、Bybitでロング・ショートで異なるレバレッジ設定を施したい方は、標準アカウントにしか対応していない点に注意しましょう。

Bybitの統合取引アカウントへの更新方法

統合取引アカウント(UTA)提供開始以前に口座開設を行った場合、統合取引アカウントへの自動移行は行われませんので、手動で更新する必要があります

統合取引アカウントへの更新方法は、以下のとおりです。

STEP
「現物」アカウントを表示

Bybitトップページ右上のアカウントアイコンをクリックし、「資産→現物」へと進みます。

Bybitアカウントの現物を選択
STEP
「今すぐ更新」を選択

「統合取引アカウントに更新」項目が表示されているので、「今すぐ更新」を選択します。

統合取引アカウントに更新
STEP
詳細を確認する

統合取引アカウントの詳細が説明されるので、各項目を読みます。

Bybi統合取引アカウントに更新
STEP
更新を確定する

「アップグレードの確認」項目まで進むと、最初は「更新を確定」ボタンが非アクティブです。

「更新を確定」ボタンのすぐ上にある「取引アカウントのご利用ガイド」へチェックを入れてから「更新を確定」ボタンを押しましょう。

統合取引アカウントに更新

このボタンを押すと、標準アカウントから統合取引アカウントへの更新が完了します。

Bybitの統合取引アカウントを試す方法

統合取引アカウントは一度変更してしまうと標準アカウントに戻すことはできません。

仕組みがよくわからない方は、以下の2つの方法でお試しが可能です。

  1. 統合取引アカウントのデモ口座を開設する
  2. サブアカウントを統合取引アカウントにする

ここでは、統合取引アカウントのデモ口座を開設する方法を紹介します。サブアカウントを作成する方法については、以下の見出しをご確認ください。

▼統合取引アカウントから標準アカウントに戻す方法

統合取引アカウントのデモ口座を開設する

STEP
「デモ取引」を選択する

Bybitトップページから「デリバティブ」を選択し「デモ取引」を選びます。

Bybit統合取引アカウントのデモ口座
STEP
「取引を始めよう」をクリック

画像のように、デモ取引の専用画面が表示されます。「10万ドル相当のデモ用資産で取引を始めよう」をクリックすると、デモ取引が利用可能です。

Bybit統合取引アカウントのデモ口座作成
screenshot

デモ口座での取引はリアル口座での取引と画面が似ているため、間違えないように注意してください。デモ口座の利用を停止したいときは、上部真ん中にある「デモを停止」のボタンをクリックします。

統合取引アカウントから標準アカウントに戻す方法

統合取引アカウント(UTA)に更新すると、標準アカウントには戻せません

そのため、どうして標準アカウントに戻したい方は、代替方法として新たに標準アカウントのサブアカウントを作成する方法をおすすめします。

新規に標準アカウントのサブアカウントを立ち上げる方法は、以下のとおりです。

STEP
「サブアカウント」を選択

Bybitメインアカウントのプロフィールアイコンより、「サブアカウント」項目を選択します。

Bybitサブアカウントの作成方法
Screenshot
STEP
「サブアカウントを作成」を選択

右上にある「サブアカウントを作成」ボタンを選択します。

Bybitサブアカウントの作成方法
STEP
「標準サブアカウント」を選択

ここでは「標準サブアカウント」を選択します。

ここで選択する「標準サブアカウント」は、「標準アカウント」とは違いますので、後の手順で別途標準アカウントを選択してください。

Bybitの標準サブアカウント作成方法
STEP
「標準アカウント」に変更

「アカウントの種類」の項目から「標準アカウント」に変更後、希望のユーザーネームを入力します。

それぞれ処理を済ませると「確定」ボタンがアクティブ化するので、選択しましょう。

Bybitサブアカウントで標準アカウントに戻す方法
STEP
アカウントの切り替え

作成したサブアカウントは、Bybitトップのプロフィールアイコンから切り替えできます。

Bybitサブアカウントの切り替え方法

統合取引アカウントはデメリットに注意!

統合取引アカウント(UTA)は、現物・デリバティブ専用のアカウント作成不要で一括管理できるBybitの新アカウントです。

毎回専用アカウントに資金を振り替えるのをめんどうに感じていた方にはメリットのあるアカウントです。

一方で、個別に分離マージンを設定しない限り、保有資産全体の証拠金を下回ると強制決済されるリスクや利用のコスト、ロングとショートで個別のレバレッジ設定ができないといったデメリットがある点に注意しましょう。

現状では標準アカウントのまま使い続けることを希望する方もいるかもしれませんが、Bybitのアカウントはすでに統合取引アカウントになっています。標準アカウントの利用が完全に停止してしまったときに備えて、今から統合取引アカウントの利用方法に慣れておくのもいいかもしれません。

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Bybit統合取引アカウント(UTA)のよくある質問

統合取引アカウント(UTA)に関する、よくある質問例について紹介していきます。

統合取引アカウントに変更した後に標準アカウントに戻せますか?

一度変更した後は、戻すことができません。代替方法として、新たに標準アカウントのサブアカウントを作成する方法があります。

▼統合取引アカウントから標準アカウントに戻す方法

統合取引アカウントで取引するにはコストがかかりますか?

Bybitでは統合取引アカウントでも、標準アカウントと同様に取引手数料や資金調達料が発生します。それに加えて、仮想通貨の借り入れをした場合は利息や返済手数料がかかります。

▼Bybit統合取引アカウントのデメリット

統合取引アカウントにはデモ口座はありますか?

はい、統合取引アカウントのデモ口座を利用できます。

▼ Bybitの統合取引アカウントを試す方法

サブアカウントでも統合取引アカウントを利用できますか?

はい、利用できます。サブアカウントでは、メインアカウントのアカウントの種類にかかわらず、標準アカウントか統合取引アカウントを自由に選択できます。

▼統合取引アカウントから標準アカウントに戻す方法

統合取引アカウントへ更新すると、取引設定が変わりますか?

標準アカウントから更新した場合にも、取引設定は変わりません。

例えば、分離マージンモードを使用していた場合、更新後も分離マージンモードのまま利用できます。

ポジションを抱えたまま統合取引アカウントに更新できますか?

標準アカウントから統合取引アカウントに更新する際には、抱えているポジションの決済が必要です。

ポートフォリオマージンの必要証拠金の計算方法はどうなっていますか?

ポートフォリオマージンの計算方法は、Bybit公式サイトのポートフォリオマージンの証拠金計算から確認できます。

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