- 「コインチェックからBybitに仮想通貨を送ったら、税金ってかかるの?」
- 「海外取引所から国内取引所に戻す時も、税金が心配だな…」
- 「ただ移動させるだけなのに、なんで税金の話が出てくるんだろう?」
そう思っていませんか? 仮想通貨取引をしていると、国内の取引所(例:コインチェック)と海外の取引所(例:Bybit)、あるいは複数の取引所間で、仮想通貨を移動(送金・入金)させる機会はよくあります。より多くの種類の通貨を取引したり、異なるサービスを利用したり、利益を日本円に換金したりするためです。
しかし、この「取引所間の仮想通貨移動」に関して、「税金は発生するのか?」という疑問を持つ方は非常に多いです。特に仮想通貨の税金は複雑で分かりにくいというイメージがあるため、「移動するだけで課税されたらどうしよう…」と不安に感じている初心者の方や、「税金計算は面倒だから、なるべく避けたい…」と考えている「ずぼらさん」もいるかもしれません。
この記事では、仮想通貨を取引所間で移動させた場合に、税金がどのように関わってくるのか、その基本的なルールについて、2025年現在の日本の税法に基づき、初心者の方にも分かりやすく解説します。「どんな時に税金がかかるのか(利益が確定するのか)」、「移動だけなら税金はかからないのか」、「注意すべき点はないか」といった、皆さんが知りたいポイントに絞ってお伝えします。
この記事を読めば、取引所間の仮想通貨移動に関する税金の基本ルールが理解でき、無用な心配をすることなく、安心して資金移動ができるようになるはずです。
【結論】取引所間の「移動だけ」なら、通常は税金はかからない!
まず結論からお伝えします。あなたが保有している仮想通貨を、単純にあなた自身の名義の口座間で移動させるだけであれば、原則としてその移動自体には税金(所得税)はかかりません。
税金がかからないケース(基本的な考え方)
- あなた名義のコインチェック口座 → あなた名義のBybit口座へ送金: この場合、仮想通貨の所有権はあなた自身のままであり、移動先もあなた自身の口座です。この移動によって、仮想通貨を売却して利益を得たり、他の仮想通貨と交換したりしたわけではないため、所得は発生しておらず、課税対象にはなりません。
- あなた名義のBybit口座 → あなた名義のコインチェック口座へ送金: 上記と同様に、あなた自身の口座間での移動であるため、所得は発生しておらず、課税対象にはなりません。
- あなた名義の取引所口座 → あなた名義の個人ウォレット(例:MetaMask)への移動: これも、仮想通貨の所有権はあなたのままであり、単に保管場所が変わるだけなので、課税対象にはなりません。
- あなた名義の個人ウォレット → あなた名義の取引所口座への移動: 上記と同様に、課税対象にはなりません。
つまり、仮想通貨の「所有権」があなた自身のままで、単に保管場所が変わる(異なる取引所やウォレットに移る)だけであれば、その移動行為そのものによって利益が確定したとはみなされず、税金は発生しない、というのが日本の税法における基本的な考え方です。(※2025年5月現在の一般的な解釈です。)
これは、銀行の普通預金口座から、同じ自分の名義の別の銀行の定期預金口座にお金を移動させても、その移動自体には税金がかからないのと同じようなイメージです。
じゃあ、どんな時に仮想通貨の税金が発生するの?(利益確定のタイミング)
「移動だけなら税金がかからないのは分かったけど、じゃあ、どんな時に税金がかかるの?」という疑問が次に湧いてきますよね。仮想通貨に関する税金(所得税)は、その仮想通貨を保有しているだけでは発生せず、保有している仮想通貨によって「利益が確定した」とみなされるタイミングで発生します。
日本の税法上、仮想通貨取引で得た利益は、多くの場合「雑所得」として分類され、他の所得(給与所得など)と合算して税率が決まる「総合課税」の対象となります。
利益が確定する主なタイミング
具体的に、どのような行為をすると、仮想通貨の利益が確定し、課税対象となる可能性があるのでしょうか? 国税庁などが示している主なケースは以下の通りです。
仮想通貨の利益が確定する主なケース(所得税の課税対象)
- 仮想通貨を売却して日本円(または他の法定通貨)に換金した時:
- これが最も分かりやすいケースです。例えば、10万円で買ったビットコインを30万円で売却して日本円にした場合、差額の20万円が利益(所得)として認識され、課税対象となります。
- 保有している仮想通貨で、他の種類の仮想通貨を購入した時:
- 例えば、保有しているビットコイン(BTC)を使って、イーサリアム(ETH)を購入した場合、その取引時点でビットコインを一度日本円に換算して売却し、その日本円でイーサリアムを購入したものとみなされます。ビットコインの取得時の価格と、イーサリアム購入時のビットコインの時価(日本円換算)との差額が、損益として認識されます。
- 取引所間の移動自体は課税されませんが、移動させた先(例:Bybit)で、移動させた仮想通貨を使って別の仮想通貨を購入した場合は、その時点で課税対象となる所得が発生する可能性があります。
- 保有している仮想通貨で、商品やサービスを購入(決済)した時:
- 例えば、ビットコインで家電製品を購入したり、レストランで食事代を支払ったりした場合も、その支払い(決済)時点で保有していたビットコインを売却(日本円に換算)したものとみなされ、取得時の価格との差額が損益として認識されます。
- マイニング、ステーキング、レンディングなどで新たに仮想通貨を取得した時:
- マイニング(採掘)によって報酬として仮想通貨を得た場合や、保有している仮想通貨をステーキング(預け入れ)やレンディング(貸し出し)することで利息や報酬として新たに仮想通貨を取得した場合、その取得時点での仮想通貨の時価(日本円換算)が所得として認識されます。(※ただし、これらの報酬に関する税務上の扱いは複雑な場合があり、専門家への確認が推奨されます。)
このように、仮想通貨の価値が日本円や他の資産(他の仮想通貨、商品、サービスなど)に変わった(実現した)とみなされるタイミングで、利益(または損失)が確定し、所得税の課税対象となる、と覚えておきましょう。
仮想通貨の税金に関する基本的なルールについて、もっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 【要注意】仮想通貨の税金、ぶっちゃけどうなの?面倒だけど無視できない話
取引所間の移動で「利益確定」とみなされる例外はある?
原則として、自分名義の口座間の移動は課税対象外ですが、例外的に注意が必要なケースも考えられます。
注意が必要なケース(可能性として)
- 移動の際に、異なる種類の仮想通貨に交換してから送金した場合: 例えば、コインチェックでビットコインを売却してリップル(XRP)に換え、そのXRPをBybitに送金した場合、ビットコインをXRPに換えた時点で、ビットコインの損益計算が必要になります。(XRPを送金する行為自体は課税されません。)
- 移動の際に、取引所が提供する特殊なサービスを利用した場合: 例えば、取引所によっては、特定の通貨を送金する際に、内部的に別の通貨やポイントに一時的に変換するようなサービスを提供している可能性もゼロではありません。そのようなサービスを利用した場合、意図せず利益が確定してしまう可能性も考えられます。(通常、単純な送金機能ではこのようなことは起こりません。)
- 移動にかかる「送金手数料」の扱い: 仮想通貨を送金する際には、ネットワーク手数料(ガス代など)がかかります。この手数料は、仮想通貨の取得価額や売却時の経費として計上できる場合がありますが、その扱いについては税務上の判断が必要です。
基本的には、「同じ種類の仮想通貨を、自分のウォレットから自分の別のウォレットへ送る」という単純な移動であれば、課税を心配する必要はありません。しかし、移動の過程で他の通貨への交換などが伴う場合は注意が必要です。
取引所間の移動で「記録」が重要な理由(損益計算のために)
「移動だけなら税金がかからないなら、何も気にしなくて良いんだ!」と思うかもしれませんが、それは少し早計です。取引所間で仮想通貨を移動させた場合でも、その移動に関する記録をきちんと残しておくことが、将来の正確な損益計算と確定申告のために非常に重要になります。
将来の売却時に「取得価額」を計算する必要がある
仮想通貨の利益(所得)を計算するためには、「売却時の価格」だけでなく、「その仮想通貨をいくらで取得したか(取得価額)」を知る必要があります。利益は「売却価格 ー 取得価額 ー 必要経費」で計算されるからです。
なぜ移動記録が取得価額に関係するのか?
- あなたがコインチェックでビットコインを10万円で購入し、それをBybitに移動させたとします。この移動自体は課税されません。
- しかし、その後Bybitでそのビットコインを30万円で売却した場合、利益を計算するには、コインチェックで最初に購入した時の価格(取得価額=10万円)が必要になります。
- もし、Bybitに移動させたビットコインが、いつ、いくらで取得したものなのか分からなくなってしまうと、正確な利益計算ができなくなってしまいます。
取引所間で仮想通貨を移動させると、その仮想通貨の「購入履歴(いつ、いくらで買ったか)」の情報が、移動先の取引所には引き継がれません。そのため、あなた自身が、「どの取引所で、いつ、いくらで購入した仮想通貨を、どの取引所に移動させたか」という記録を、正確に管理しておく必要があるのです。
損益計算ツールを使う場合も移動履歴は必要
「損益計算は複雑だから、専門の計算ツールを使えば大丈夫でしょ?」と考える方もいるかもしれません。確かに、GtaxやCryptactといった仮想通貨の損益計算ツールは非常に便利で、取引履歴ファイルをアップロードすれば自動で損益を計算してくれます。
しかし、これらのツールを正しく機能させるためには、取引所間の仮想通貨の移動履歴も、ツールに正確に反映させる必要があります。
損益計算ツールと移動履歴
- 計算ツールは、各取引所からダウンロードした取引履歴に基づいて損益を計算します。
- もし、あなたがコインチェックからBybitへビットコインを送金した場合、コインチェックの履歴には「出金」記録が残り、Bybitの履歴には「入金」記録が残ります。
- ツールは、この「出金」と「入金」が、売買ではなく「同一人物による資金移動」であることを認識できないと、誤ってそれを「売却」や「新規取得」として計算してしまう可能性があります。
- そのため、多くの損益計算ツールでは、取引所間の資金移動があった場合に、それを手動で「資金移動」として登録したり、ツールが自動で認識できるように履歴ファイルを調整したりする必要があります。
つまり、損益計算ツールを使う場合であっても、あなた自身が「いつ、どの取引所からどの取引所へ、どの通貨を、どれだけ移動させたか」を把握し、その情報をツールに正しく伝える必要があるのです。そのためにも、取引所間の移動に関する記録(日時、通貨、数量、移動元・移動先取引所)をしっかりと残しておくことが重要になります。
仮想通貨の税金計算ツールについて、もっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 仮想通貨税金計算ツールどれが良い?初心者向け選び方と使い方ガイド
まとめ:取引所間の移動と税金のポイント
今回は、仮想通貨を取引所間で移動させた場合に税金がかかるのか、という疑問について、その基本的なルールと注意点を解説しました。
- 結論: あなた自身の名義の口座間(例:コインチェック ⇔ Bybit、取引所 ⇔ 個人ウォレット)で、同じ種類の仮想通貨を単純に移動させるだけであれば、原則としてその移動自体に税金(所得税)はかかりません。
- 課税タイミング: 税金が発生するのは、仮想通貨を日本円に換金したり、他の仮想通貨と交換したり、商品・サービス購入に使用したりして、利益が確定したとみなされるタイミングです。
- 移動記録の重要性: 移動自体は非課税でも、将来その仮想通貨を売却した際の正確な損益計算(特に取得価額の把握)のために、いつ、どの取引所間で、どの通貨を、どれだけ移動させたかの記録を残しておくことが非常に重要です。
- 損益計算ツール利用時も注意: 損益計算ツールを使う場合も、取引所間の資金移動履歴をツールに正しく反映させる必要があります。
- 例外ケースに注意: 移動の際に他の通貨への交換が伴う場合などは、課税対象となる可能性があります。
仮想通貨の取引所間移動は、税金の心配は基本的に不要ですが、将来の確定申告に備えて、移動の記録をしっかり管理しておくことが大切です。「移動だから関係ないや」と記録を怠ると、後で損益計算ができずに困ってしまう可能性があります。面倒くさがらずに、記録を残す習慣をつけましょう。
仮想通貨の税金全般について、基本的なルールや注意点をもっと詳しく知りたい場合は、こちらの記事がおすすめです。
▶ 【要注意】仮想通貨の税金、ぶっちゃけどうなの?面倒だけど無視できない話