海外の仮想通貨(暗号資産)取引所とは、日本国内に登録されていない、外国に拠点を置く仮想通貨の売買サービスです。海外の仮想通貨取引所には、日本の仮想通貨取引所にはないメリットやデメリットがあります。この記事では、海外の仮想通貨取引所の一覧と選び方について紹介します。以下の項目について解説します。
- 海外の仮想通貨取引所と日本の仮想通貨取引所の違い
- 海外の仮想通貨取引所の選び方のポイント
- 海外の仮想通貨取引所のメリット・デメリット
- 海外の仮想通貨取引所の比較・ランキング
海外の仮想通貨取引所と日本の仮想通貨取引所の違い
海外の仮想通貨取引所と日本の仮想通貨取引所とでは、以下のような違いがあります。
取り扱う仮想通貨の種類や数
海外の仮想通貨取引所は、日本では未上場や規制されている仮想通貨も多く取り扱っています。一方、日本の仮想通貨取引所は、金融庁に登録された暗号資産交換業者でなければならず、取り扱う仮想通貨も金融庁が認めたものに限られます。
取引手数料や入出金手数料
海外の仮想通貨取引所は、日本よりも競争が激しいため、手数料が安く設定されていることが多いです。また、一部の海外の仮想通貨取引所では、マイナス手数料(マーケットメイカーに手数料を還元する)やボーナス(新規登録や招待などで仮想通貨をプレゼントする)などを提供しています。
レバレッジ取引
海外の仮想通貨取引所は、日本よりも高い倍率(最大1000倍)でレバレッジ取引を行うことができます。レバレッジ取引とは、自分の資金以上の金額で仮想通貨を売買することで、利益を増やすことができる仕組みです。しかし、レバレッジはリスクも高くなるため、慎重に利用する必要があります。
セキュリティ対策やサポート体制
海外の仮想通貨取引所は、日本では適用されない法律や規制に基づいて運営されています。そのため、ハッキングや盗難などのトラブルが発生した場合、日本よりも救済措置が難しい場合があります。また、サポート体制も日本語対応していない場合や時間差がある場合があります。
海外の仮想通貨取引所の選び方のポイント
海外の仮想通貨取引所を選ぶ際には、以下のポイントに注意してください。
取り扱う仮想通貨
自分が投資したい仮想通貨が取り扱われているか確認する。また、将来的にも興味がある仮想通貨があれば、それもチェックする。
手数料
取引手数料や入出金手数料など、コスト面を比較する。手数料が高いと利益が減ってしまうので、できるだけ安い取引所を選ぶ。
レバレッジ
レバレッジ取引を行うかどうか決める。レバレッジ取引は利益を増やすことができるが、同時に損失も大きくなる可能性がある。自分のリスク許容度や経験に合わせて、レバレッジの有無や倍率を選ぶ。
セキュリティ
取引所のセキュリティ対策や信頼性を確認する。仮想通貨はハッキングや盗難の被害に遭うことがあるので、取引所がどのように資産を保護しているかを調べる。例えば、コールドウォレットやマルチシグなどの技術を使っているか、金融ライセンスや自主規制団体の加盟などの認可を受けているか、過去にトラブルや事件が起きたことがないかなどをチェックする。
サポート
取引所のサポート体制や対応力を確認する。仮想通貨取引は24時間365日行われるので、いつでも問題が発生する可能性がある。その際に、取引所が迅速かつ丁寧に対応してくれるかどうかは重要な要素である。例えば、サポートの連絡先や営業時間、FAQやヘルプページなどの情報提供、トラブル時の対処方法などを確認する。
海外の仮想通貨取引所のメリット
海外の仮想通貨取引所を利用するメリットは以下のとおりです。
取り扱う仮想通貨の種類や数が多い
海外の仮想通貨取引所は、日本では未上場や規制されている仮想通貨も多く取り扱っています。例えば、ビットコインキャッシュ(BCH)、イーサリアムクラシック(ETC)、モネロ(XMR)、ダッシュ(DASH)、ゼットキャッシュ(ZEC)などは、日本では上場していないか、上場しても取引量が少ない仮想通貨ですが、海外の仮想通貨取引所では人気が高く、流動性も高いです¹。また、最新の技術やコンセプトを持つ新興の仮想通貨も、海外の仮想通貨取引所で先行して上場されることが多いです。
取引手数料や入出金手数料が安い
海外の仮想通貨取引所は、日本よりも競争が激しいため、手数料が安く設定されていることが多いです。例えば、世界最大の仮想通貨取引所であるBinance²では、一般的な取引手数料は0.02%〜0.04%であり³、日本の仮想通貨取引所であるbitFlyerやCoincheckと比べても低いです。また、一部の海外の仮想通貨取引所では、マイナス手数料(マーケットメイカーに手数料を還元する)やボーナス(新規登録や招待などで仮想通貨をプレゼントする)などを提供しています。
レバレッジ取引ができる
海外の仮想通貨取引所は、日本よりも高い倍率(最大1000倍)でレバレッジ取引を行うことができます。レバレッジ取引とは、自分の資金以上の金額で仮想通貨を売買することで、利益を増やすことができる仕組みです。例えば、Bybitでは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要な仮想通貨で最大100倍のレバレッジ取引が可能です。しかし、レバレッジはリスクも高くなるため、慎重に利用する必要があります。
海外の仮想通貨取引所のデメリット
海外の仮想通貨取引所を利用するデメリットは以下のとおりです。
セキュリティ対策やサポート体制が不十分
海外の仮想通貨取引所は、日本では適用されない法律や規制に基づいて運営されています。
そのため、ハッキングや盗難などのトラブルが発生した場合、日本よりも救済措置が難しい場合があります。例えば、2014年に日本の仮想通貨取引所であるMt.Goxがハッキングにより約85億ドル相当のビットコインを失った事件では、日本の裁判所が管轄権を持ち、被害者に対する補償や返還の手続きが進められています。
しかし、2019年にカナダの仮想通貨取引所であるQuadrigaCXがCEOの死亡に伴い約1.9億ドル相当の仮想通貨を失った事件では、カナダの裁判所が管轄権を持ちましたが、被害者に対する補償や返還の手続きは難航しています。
また、サポート体制も日本語対応していない場合や時間差がある場合があります。
税務処理が複雑
海外の仮想通貨取引所を利用する場合、日本の税法に基づいて確定申告を行う必要があります。
しかし、海外の仮想通貨取引所は、日本の仮想通貨取引所とは異なる形式や言語で取引履歴や明細書を提供する場合があります。そのため、自分で必要な情報を抽出したり、為替レートや税率を適用したりするなど、税務処理が複雑になる可能性があります。
また、海外の仮想通貨取引所は、日本では認められていない分離課税制度を適用している場合もあります。分離課税とは、仮想通貨の売却益に対して一律20.315%の税率を適用し、他の所得とは別に課税する制度です。しかし、日本では総合課税制度を適用し、他の所得と合算して課税することになっています。
そのため、海外の仮想通貨取引所で分離課税された場合でも、日本では総合課税されることに注意する必要があります。
海外の仮想通貨取引所の比較・ランキング
海外の仮想通貨取引所は数多くありますが、その中から以下の基準で比較・ランキングしました。
- 取り扱う仮想通貨の種類や数
- 取引手数料や入出金手数料
- レバレッジ取引の有無や倍率
- セキュリティ対策やサポート体制
以下が、2021年9月時点での海外の仮想通貨取引所の比較・ランキングです。
順位 | 取引所名 | 取り扱う仮想通貨数 | 手数料 | レバレッジ | セキュリティ | サポート |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | Binance | 350種類以上 | Maker: 0.02% Taker: 0.04%(取引量により異なる) | 最大20倍(一部銘柄では125倍) | コールドウォレット・マルチシグ・2段階認証・セーフモードなど | 日本語対応・24時間体制・ライブチャット・メール・FAQ・ヘルプページなど |
2位 | Bybit | 270種類以上 | Maker: -0.025% Taker: 0.075%(一部銘柄では異なる) | 最大100倍(一部銘柄では50倍) | コールドウォレット・マルチシグ・2段階認証・セーフモードなど | 日本語対応・24時間体制・ライブチャット・メール・FAQ・ヘルプページなど |
3位 | Huobi | 300種類以上 | Maker: 0.02% Taker: 0.04%(取引量により異なる) | 最大5倍(一部銘柄では100倍) | コールドウォレット・マルチシグ・2段階認証・セーフモードなど | 日本語対応・24時間体制・ライブチャット・メール・FAQ・ヘルプページなど |
4位 | OKEx | 400種類以上 | Maker: 0.02% Taker: 0.04%(取引量により異なる) | 最大10倍(一部銘柄では100倍) | コールドウォレット・マルチシグ・2段階認証・セーフモードなど | 日本語対応・24時間体制・ライブチャット・メール・FAQ・ヘルプページなど |
5位 | KuCoin | 250種類以上 | Maker: 0.08% Taker: 0.18%(取引量により異なる) | 最大10倍(一部銘柄では100倍) | コールドウォレット・マルチシグ・2段階認証・セーフモードなど | 日本語対応・24時間体制・ライブチャット・メール・FAQ・ヘルプページなど |
※このランキングはあくまで参考程度にしてください。自分の投資目的やスタイルに合わせて、各取引所の詳細な情報を確認してから選ぶようにしてください。
以上が、海外の仮想通貨取引所一覧と選び方についての記事でした。海外の仮想通貨取引所は、日本の仮想通貨取引所と比べて、多くのメリットやデメリットがあります。自分の目的やスタイルに合った取引所を選び、安全かつ効率的に仮想通貨取引を楽しみましょう。