最近話題に上ることが増えているグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)。これは、アメリカで規制当局の承認を得て流通しているビットコイン現物ETF(上場投資信託)です。
この記事では、GBTCの特徴や規模、今後の展望を簡潔に紹介します。
そもそもビットコイン現物ETFとは?
グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)はアメリカで「ビットコイン現物ETF」として販売されています。
ビットコイン現物ETFとは、現物ビットコインの価格に応じて価格が変動するETFです。ETFは株のように売買できるものなので、一般の投資家にとっては暗号資産取引所でビットコインを購入するよりも手軽に保有することができるというメリットがあります。
アメリカでは長らくビットコイン現物ETFの販売は許可されていませんでしたが、2024年1月についに販売が許可されました。
GBTCを発行するグレイスケール社は仮想通貨に特化した会社ですが、アメリカのビットコイン現物ETFにはブラックロックやフィデリティなどの大手資産運用会社も参入しており、伝統的金融業界からの注目が集まっています。
世界最大のビットコインファンド
GBTCは、2024年1年にアメリカでビットコイン現物ETFが認められてからはETFに転換されましたが、以前はETFではなくクローズエンド型の投資信託(ファンド)として流通していました。
ブラックロックなどの大手資産運用会社が発行したビットコイン現物ETFはいずれも2024年に初めて発行されたものですが、GBTCのみ2013年から投資信託としての運営実績があります。
アメリカだけでなく全世界でみても、GBTCは最大規模の投資信託です。しかし、アメリカで新たに発行された他社のビットコイン現物ETFと比較すると手数料が1%程度高いため、他社のETFへの乗り換えや利益確定によりGBTCから大規模な資金流出が起きています。
GBTCが依然として運用資産額のトップではありますが、連日の流出により他社のETFとの差は減少しつつあります。
ビットコイン価格低迷の要因に
ビットコイン現物ETFは、これまで暗号資産市場に投資をしていなかった投資家が参入することでビットコイン価格の上昇要因になると期待されていました。
しかし、ビットコイン現物ETFの発売以来ビットコイン価格は低迷しており、GBTCからの資金流出はその一因になったといわれています。
GBTCは、以前は発行企業がファンドの純資産価格に基づいた価格で買い戻すことが認められていないクローズエンド型の投資信託でした。そのため、2022年に始まった暗号資産の低迷期には純資産価格を大幅に下回った価格で取引されていました。事実上売却に制限がかけられていた状態が長く続いていたため、ビットコイン現物ETFへの転換によって利益確定を行う人が多く、ビットコインの売り圧力につながったのです。
しかし、ビットコイン現物ETFへの個人投資家や機関投資家の参入は今後も続くとみられており、ビットコイン価格の長期的な見通しはおおむね強気です。
ビットコイン現物ETFの発売から1カ月程度が経過した時点ではGBTCからの資金の流出は減速しており、このことがビットコイン価格の上昇につながるのではないかと予想されています。
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