仮想通貨(暗号資産)の知名度が上がっているため、投資対象として仮想通貨に興味を持ったFXトレーダーも多いのではないでしょうか。
しかし、資金調達率やメイカー手数料・テイカー手数料など、聞きなれない言葉も多く、仮想通貨取引所を利用するのをためらっている人もいるでしょう。
この記事では、FXトレーダーがスムーズに仮想通貨取引を始めることができるように、FXとの違いや注意点、仮想通貨取引の基礎知識を紹介していきます。
似ているところもあるけど、違うところも多いよ!
仮想通貨取引所には国内・海外の違いがある
仮想通貨取引所には、bitFlyer(ビットフライヤー)やCoincheck(コインチェック)などの国内取引所と、Bybit(バイビット)やMEXC(メクシー)などの海外取引所があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
FXブローカーでも、海外FX業者と国内FX業者があるね!
仮想通貨を始める際には、どちらの取引所を使うか選ぶところからはじめましょう。
メリット・デメリットの違い
国内取引所のメリットは、日本の金融庁の規制を受けていることです。日本の規制は世界各国と比較しても厳しいため、逆に言えば利用者はしっかりと守られています。
一方で、国内取引所は取り扱い仮想通貨が少なく新しい銘柄がないというデメリットがあります。上場までの審査が厳しいために取引できる銘柄は有名どころに限られていて、明るいニュースが出て急上昇した銘柄をすぐ取引しようとしてもほとんど取引できません。
銘柄は少しずつ増えてはいるよ
反対に、海外取引所のメリットはさまざまな銘柄を取り扱っていることです。さらに、スプレッドや手数料などの取引コストも安い点です。
そのため、本格的に仮想通貨取引をしたい場合は海外取引所の方がおすすめです。
しかし、日本の金融庁の規制という安心がほしい方は、国内取引所で取引できる銘柄に限定して取引を行うという方法もあります。
本人確認(KYC)の違い
海外の仮想通貨取引所はFX業者と違い、一定額までの出金であれば本人確認(KYC)を不要としているところがほとんどです。これは海外取引所ならではの大きなメリットで、面倒な手続きは不要であるため、口座開設後に仮想通貨を送金すればすぐに取引を開始することが出来ます。
一方で、日本の仮想通貨取引所ではすぐに口座を開設することはできません。国内取引所では、口座開設申し込み後に登録住所へ転送不要書留郵便が郵送されます。このはがきを受け取ってからやっと取引を開始出来るようになります。
1週間以上かかることも想定しておこう
海外FX業者ではKYCを必須としている所がほとんどなため、仮想通貨取引所はたったこれだけで取引開始できるの…?と思われるでしょう。
ましてや多額の資金を預け入れるわけですから、不安になる気持ちも分かります。しかし、セキュリティの面では海外取引所も決して緩いわけではありません。二段階認証をしっかりと行い、パスワードの流出にさえ気を付けていれば安全に利用できます。
二段階認証とは、IDとパスワードを入力した後に、さらに認証が必要となる方式のことです。仮想通貨取引所やFX業者では、スマートフォンやPCアドレスにコードが送信され、ログインするにはそのコードを入力する必要がある方法が採用されていることが多いです。本人しか閲覧できないスマートフォンやPCアドレスを経由することで、セキュリティレベルが大幅に高まります。
海外取引所を利用する際に注意するべきなのは、フィッシングサイトです。取引所そっくりなサイトを作り、メールアドレスとパスワードを盗み取る手口が横行しています。
これでも二段階認証さえしていれば不正に送金される事は少ないのですが、同じメールアドレスとパスワードに設定している取引所へは、手当たり次第に不正ログインを試みてきます(体験済)。
フィッシング詐欺対策としては、公式ページをブックマークしてそこからログインすること、不用意に英語のメール開かないことである程度は対策出来ますね。
仮想通貨の取引形式には取引所・販売所等がある
仮想通貨取引所には、いくつかの取引形態があります。国内取引所であれば、取引所・販売所・仮想通貨FX・先物、海外取引所であれば、現物取引・無期限先物・期限付き先物などです。
国内取引所の取引形態
仮想通貨の国内取引所には以下の3種類の取引形態があります。
販売所 | 仮想通貨取引所を相手とした取引(相対取引) |
取引所 | 利用者同士の取引(取引所取引) |
仮想通貨FX | 買いに対しては売り、売りに対しては買いを必ずセットで行い、差額のみを受け取る差金決済取引(レバレッジ対応) |
販売所と取引所の違いは、販売所は取引コストが高く、取引所は安いということです。仮想通貨FXは、現物を保有しないという特徴があります。FXトレーダーなら理解しやすいでしょう。
海外取引所の取引形態
仮想通貨の海外取引所には主に以下の4種類の取引形態があります。
現物 | 利用者同士の取引(取引所取引) |
無期限先物 | 引き渡し期日の決まっていない先物。FXと似た仕組み。 |
期限付き先物 | 決められた期日までに売買することを約束する取引。 |
レバレッジトークン | 先物取引の2倍、3倍等の値動きをするように設計されたトークンを売買する取引 |
海外取引所では国内取引所の「販売所」にあたるサービスはメジャーではなく、基本的に利用者同士の取引である取引所取引です。板取引が行われます。
また、無期限先物と期限付き先物があるのも特徴です。無期限先物は、通常の先物と異なり、期限が来たら決済しなければならない仕組みがありません。そのため、無期限にポジションを保有することができます。
国内取引所の仮想通貨FX(暗号資産FX)と似たサービスだね
レバレッジトークンなどの国内取引所にはないサービスもあります。海外取引所のデリバティブ取引についてはこの記事にまとめました。
海外仮想通貨取引所を利用する際の注意点
仮想通貨の国内取引所は使い方が比較的シンプルですが、海外取引所では覚えておくべきことが多いです。ここでは、特に海外取引所を利用する際に注意することをまとめました。
✔ KYCの段階によってできることが異なる
✔ 二段階認証は必須!
✔ 日本人は入金方法が限られる
✔ メイカー手数料・テイカー手数料がある
✔ 資金調達率がある
✔ レバレッジの仕組みが異なる
使い始めるまでのハードルがやや高い海外取引所ですが、仮想通貨を保有するだけ報酬が得られるステーキングや、仮想通貨が無料でもらえるエアドロップなど、トレーダーにとって嬉しいサービスがたくさんあり、海外FXとはまた違った戦略を取って資金を増やすことが出来ます。
ステーキングとは、保有している仮想通貨のネットワークに参加することで報酬を得る仕組みの事です。保有することで追加利益を得られる仕組みとしては、他にもマスターノードやNEMのハーベストがあります。ステーキングはマスターノードやハーベストと比較すると、通貨の必要最低保有量が低く気軽に始められるケースが多いです。
KYCの段階によってできることが異なる
仮想通貨の海外取引所では、基本的に本人確認(KYC)なしで利用することができます。しかし、KYCなしの場合は1日の出金限度額が制限されたり、IEO(新規取引所公開)に参加できなかったりなど、いくつかの制限があります。
KYCを行うと、以下のメリットがあります。
✔一日の出金可能額が増える
✔クレジットカード入金が可能
✔IEO(新規取引所公開)に参加可能
KYCの段階ごとの制限は、下記の記事にまとめています。
二段階認証は必須!
仮想通貨取引所で最も心配すべきことは不正ログインからの資金流出です。あらかじめ二段階認証を設定しておくことで、その多くを未然に防ぐことができます。
必ず二段階認証を設定しておきましょう。
二段階認証とは、IDとパスワードでの認証に加えてセキュリティコードでの認証を行うものです。セキュリティコードの確認にはメールアドレスやGoogleの認証システムを使用します。
日本人は入金方法が限られる
仮想通貨の海外取引所では、日本から入金できる方法が限られています。
例えばBybit(バイビット)では、下記の4種類の入金方法が用意されています。
・仮想通貨送金
・クレジットカード
・銀行振込
・P2P取引(銀行送金、LINE Pay等)
手数料が高額だったり手間がかかるというデメリットがあるため、仮想通貨送金が最も利用されています。
この仮想通貨送金に便利なのが、国内取引所です。国内取引所に銀行入金を行い、その取引所で仮想通貨を購入し、海外取引所に送金する方法を使えば、低コストで送金を行えます。
詳しい手順はこちらの記事で解説しています。
メイカー手数料・テイカー手数料がある
仮想通貨の海外取引所には、メイカー手数料とテイカー手数料が別に設定されています。
メイカー | 主に指値注文のことです。取引板に指値注文を出し、取引所に流動性を作る(make)ことからメイカーと言います。 |
テイカー | 主に成行注文のことです。取引板に並んだ注文を成行約定で取り除く(take)ことからテイカーと言います。 |
ざっくりと、メイカー手数料=指値注文の手数料、テイカー手数料=成行注文の手数料と考えることができます(例外もあります)。
一般的に、メイカー手数料の方がテイカー手数料より安く設定されています。指値注文を出すことで取引がすぐに成立しやすい状態を作ることに貢献しているとみなされるため、手数料が優遇されるのです。
詳しくは、こちらの記事で紹介しています。
資金調達率がある
仮想通貨の海外取引所では、FXのような感覚で取引できる「無期限先物取引」が人気です。この取引にはスワップポイントのように特定の時刻に一定額が支払い(または受け取り)となる「資金調達率」の制度があります。
無期限先物取引は現物取引と異なり、買い取引を行った時点と売り取引を行った時点の差額を受け取ることを目的とした取引です。
資金調達率の特徴には、このような特徴があります。
✔ 売りポジションと買いポジションでマイナスになる側が変わることもある
✔ 一定の時間おきに発生する
詳しくは、こちらの記事で紹介しています。
レバレッジの仕組みが異なる
仮想通貨取引所の無期限先物取引では、海外FX業者で行える仮想通貨FX(暗号資産FX)と同じような感覚で仮想通貨の差金決済取引(買いポジションと売りポジションの差額を利益とする)が行えます。
しかし、レバレッジの仕組みや、ロスカットまでの猶予を示す「マージン率」などはかなり異なるので注意が必要です。仮想通貨取引所のレバレッジの仕組みについては、この記事で解説しています。
海外仮想通貨取引所で取引をする具体的手順
ここからは、仮想通貨の取引が初めてのFXトレーダー向けに、仮想通貨の海外取引所で取引を始める具体的な手順を紹介します。
まずは資金移動をしよう
仮想通貨の海外取引所では、現物ウォレットやデリバティブウォレットなど、用途別にウォレットが分かれています。
入金すると通常は現物ウォレットに着金するので、現物を購入したい場合はそのまま利用できますが、デリバティブ取引に利用したい場合はウォレットへの内部資金移動を行う必要があります。
Bybit(バイビット)の場合、上部の「資産」メニューをクリックすると、アカウント(ウォレット)一覧が表示されますので、資金移動を行ってください。
仮想通貨取引所は板取引
仮想通貨の場合、FXと大きく異なるポイントのひとつとして、板取引であることが挙げられます。板取引の商品としては、仮想通貨の他に株、先物などもありますね。
海外取引所の板取引はスプレッドがほとんどない事から、スプレッドのあるFXに慣れた人にとっては嬉しい取引環境でしょう。
板取引であるため値動きのクセもまたFXとは違うものとなり、ティックの動きは為替と比較するとマイルドです。また、注文数が大きくなると、スリッページが起こりやすいことも仮想通貨の板取引の特徴です。
スリッページが起きそうかどうかも板で確認できるよ!
板取引は、参加者の心理が見えやすいのも特徴です。リアルタイムに世界中の取引板を自由に見ることができるため、見せ板のような心理戦も行われます。
注文パネルを使いこなそう
仮想通貨取引所の注文パネルは、海外FXで使われるMT4/MT5とは全く違った注文パネルであるため、始めは困惑する方も多いでしょう。
ほとんどの海外取引所はFXでも使われているチャートツールのTradingViewを採用していますが、注文機能部分は取引所ごとにオリジナルのデザインになっていて微妙に異なります。
Bybit(バイビット)の注文パネルだと、真ん中より少し上の方に指値注文や成行注文を選ぶ部分があります。選んだ注文の種類によって、入力が必要な欄が切り替わります。より複雑な注文がしたい場合は、最上部にある「取引」「ツール」のタブを切り替えます。
細かい内容は取引所によって異なりますが、注文の種類を選ぶと入力が必要な項目が変化する仕様になっているところが多いです。Bybitなど一つの取引所で基本的な使い方さえマスターしてしまえばほとんどの取引所も直感的に使用することができるでしょう。
仮想通貨はさまざまな運用が可能
仮想通貨取引はFXと違って自由度の高い運用が可能です。特に、日頃からニュースや要人発言を追っているような情報感度の高いFXトレーダーには向いているのではないでしょうか。
また、インカムゲインを得る手段として活用するのもひとつの投資戦略です。ステーキングやレンディングを行い、余剰資金を寝かせておくよりは…といったような活用方法もありますね。
まだまだ黎明期の仮想通貨です。少しずつ認知されてきてはいますが、FCA(英国金融行動監視機構)やSEC(米証券取引委員会)等では規制の動きも強まり、国際通貨と呼ぶ日は遠いのかも知れません。
しかし、年々進むインフレ傾向から資産を守るには、希薄価値によって長期上昇トレンドを形成しているビットコインのような物を保有しておくべきなのかもしれませんね。ポートフォリオの隅っこにビットコインを置いておくだけで、いつか助けられる日が来るのかもしれません。
海外取引所としては、日本語サポートが充実しているBybitが一番人気です。
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