海外FXの利益に税金を払いたくないというのはよく聞く話です。個人的にも何度も思いました。ただ、この脱税はかなりリスクが高くなります。ばれた場合に重加算税が課せられるのはもちろん、最悪の場合は刑事罰までついてしまいます。
正直に言えば、重加算税だけなら後々請求されても払える用意をしておけば脱税もありかと思うのですが、刑事罰のリスクがあることを考えると、自分はとても脱税はできません。「脱税で逮捕」というニュースを見かけたこともあると思いますが、最悪の最悪の場合、メディアで実名なども出てしまうでしょう。
公に脱税を勧めるとそれ自体が犯罪になってしまうので(教唆)、「海外FX 脱税」で検索すると、「脱税は絶対ダメ」と書いてあるサイトしか出てこないと思われます。
しかし、トレーダー同士で話すと、脱税したいという希望を持っている人はかなり頻繁に見かけます。
脱税方法として有名なものは、下記の2種類です。つまり日本の銀行を絡ませないという方法がメインです。
・なんらかの形で銀行経由以外で出金する
・海外に会社を作るなどの方法で、資金を一切引き出さない
しかし、脱税の取り締まりは日々厳しくなっているので、それをくぐり抜けるために、上記の方法を使う際の手順の複雑さもどんどん上がっています。それを考えると、合法的に許された節税方法(法人を設立して税率を下げる)が最もベストではないでしょうか。
この記事では、海外FXに適用される税制や脱税のリスク、脱税以外の節税方法について紹介します。
海外FXに適用される税制
海外FXで発生した利益は、「雑所得」に分類され、他の収入と合わせて税額を決定する「総合課税」の区分となります。収入が増えれば増えるほど税率が高くなり、最高で45%の税額となります。(住民税も別にかかります)
一方、国内FXの利益は、FXなど一部の収益のみ別で、一律約20%の税額となっています。かなり税率が違いますよね。
「総合課税」区分は収入に応じて税率が決まります。FX以外の所得が低ければ、海外FXの方が税率が低くなるケースもありますが、フルタイムでサラリーマン勤務をしている場合は、国内FXと同じかそれ以上になってしまう場合が多いです。
税率だけでもかなり不利ですが、さらに、海外FXの場合は、ある年に出た損失を翌年に出た利益と相殺できないというルール(損失繰越不可)もあり、これが国内FXと比べても大きなデメリットとなっています。
例えば、ある年の損失が100万円で、翌年の利益が120万円だった場合、国内FXでは損失繰越が可能なので、利益が出た年に申告する利益を20万に減らすことができます。そのため、120万円ではなく損失と相殺した20万円分のみ税金を払えばいいことになります。100万の負け分は、120万円の利益を得るための必要経費だったというような扱いになるためです
必ず勝てるわけではないトレードをしている以上、負け分は利益から引いてほしいと誰でも考えますよね。しかし、個人で海外FXをする場合はそれは認められません。損失繰越を利用したい場合は、法人を作ってトレードすることになります。法人を作れば、海外FXでも損失繰越が利用できます。
有名な脱税の方法
冒頭で紹介した通り、脱税方法として有名なものは、日本の銀行を絡ませないという方法です。過去に銀行経由で資金を受け取った人は、そもそもリスクが高すぎて脱税を考えること自体無駄です。
ここから、代表的な脱税方法とそのリスクについて紹介します。
・なんらかの形で銀行経由以外で出金する
・海外に会社を作るなどの方法で、資金を一切引き出さない
銀行以外で出金する
脱税方法を探している人は後を絶ちませんが、銀行経由で一度でも100万円超えの資金を受け取ってしまった人は、税務署にマークされている可能性があります。
税務署とかかわる仕事をしている知人に聞いたところ、「あえて泳がせる」というのは本当の話だそうなので、資金を受け取ってからしばらく時間が空いたとしても、もう調査されないだろうという判断はできません。
bitwallet(ビットウォレット)などを利用して、一旦海外FX業者に入金した資金を、銀行に出すことなく運用を続けているという人であればまだできなくもないですが、出金経験がある人は、すっぱりあきらめて他の節税方法を探しましょう。
銀行を経由してしまうとバレてしまうリスクが大きく上がる、ということを念頭に、「銀行を経由しない」出金方法というのを使っている人もいます。
この方法を具体的に聞いたところ、一見すると確かにバレなさそうでしたが、数%の手数料がかかるそうです。つまり、もしバレたときどうなるかというと、その方法を使ったことによる手数料数%と、所得を隠そうとしたことに対するペナルティとして重加算税が課されることになりますので、バレたときは合計でかなりのダメージになるということですね。
脱税の取り締まりがきつくなっているので、低リスクで脱税する方法というのはありません。バレたときの重いペナルティのこともきちんと考えると、脱税はしない方がいいという結論になるでしょう。
資金を一切引き出さない
FXなどの投資は余剰資金でやるのが基本です。つまり、「お金を出金して生活費に充てる」という必要のないお金でやるということです。
逆に考えると、余剰資金でやっている限り出金する必要はなく、複利運用でどんどん増やすという選択肢もあります。
例えば50万円や100万円を入金して、それを1000万円にすることも、ハイレバレッジの海外FXなら可能です。その1000万円を、海外に法人を作って、その法人を名義人にして仮想通貨なり株なりに投資していくと、複利運用を続ける限り日本の銀行に引き出す必要はなくなります。
出金できないお金と考えるとバーチャルマネーのようですが、完全に余剰資金でやっている場合はこの方法もありでしょう。
ただ、人生においていずれは出金しなければならないタイミングは来ます。自分でまとまったお金が必要だったり、自分が死んでしまって子孫に引き継ぐ場合などです。
「いずれ必ず出金しなければならない」のですがその際に日本の銀行を使わない方法はハードルが高くなります。このあたり実際脱税している人はどう考えているのか不明です。
しかし、複利運用を前提にしていますので、例えば毎年税金を30%取られたとしたらその分原資が減ります。脱税していれば原資は減らないので、同じ収益率だったとしても、何年か経過した後最終的に増えた金額にはかなり差が出るでしょう。
収益率がある程度高ければ、バレた後にまとめて重加算税を払ったとしても、原資を減らさずに複利運用した方が理論上儲かる場合もあります。
ちなみに、この海外の法人を作って複利運用する方法も、バレれば確実に脱税となります。日本に居住していながらペーパーカンパニーを設立する方法は、抜け道がほぼ考えられないくらい厳しく規制されています。FXに限らず、この方法で脱税する人がたくさんいるからでしょう。
数年前にはよくこの法人設立の話を耳にしましたが、最近さらに規制が強化されて抜け道がつぶされたようです。昔からやっている人の中には、法改正があったことに気づかずやり続けている人もいるのかもしれません。
脱税のリスク
ここからは、脱税のリスクについて紹介します。
・大きな損失を出すと、重加算税だけが課される
・見せしめ刑事罰のリスク
損失を出した際のリスク
海外FXあるあるですが、利益を出した年の翌年に大きな損失を出すと、税金だけを支払わなければならなくなります。一般的なFX投資家でもそうですが、脱税していた場合それが重加算税になりますので、ダメージが大きくなります。
税制上、その年の損益は年末に確定します。「前年に利益が出て取引ロットを増やしたら、年初に大きな損失を出してロスカットになってしまった」という場合でも、その年の納税は年末の利益をベースに課税されます。
2019年の年始の1月3日にドル円が大暴落したフラッシュクラッシュの際には、前年の利益を上回る損失が出て税金だけ支払う羽目になったという人がかなり出たようです。
FXは元本が保証されるわけではありませんので、「税金を払わないことで原資を減らさずに複利運用できる」というメリットは、損失が出た際に税金負担だけが残るというリスクでもあります。
リスク回避のためにも、毎年年末に税負担が確定したら、その分を口座から抜いて運用するのがいいでしょう。
見せしめ刑事罰のリスク
脱税教唆になってしまうのでぼかして書きましたが、今の税制で脱税をしようとすると、かなり複雑な方法をとることになるというのは伝わったのではないでしょうか。
仕組みが複雑化すると、同じような方法を取っている人に警告する意味合いで、逮捕されてしまうリスクがあります。
振り込め詐欺で想像するとわかりやすいですが、よく知られた振り込め詐欺の手口を使っていた場合は、逮捕はされるでしょうがメディアで大々的に報道まではされないでしょう。しかし、これまでにない斬新な手口を使っていた場合は、報道される確率が高くなります。
これを脱税に当てはめると、通常脱税は刑事罰までは課せられませんが、悪質な場合など一部は刑事罰の対象となってしまいます。見せしめで逮捕されるとしたら、有名人や金額が多かった場合などがメインになると思われますが、一般人でも対象にならないとは限りません。
そうなれば、本業を持っていた場合は本業に、専業投資家でも親族などに影響が出てきます。このようなリスクを考えると、きちんと納税することをおすすめします。
法人化で節税できる
合法的に許された節税方法として、おすすめなのは法人の設立です。
個人で海外FXをやった場合のデメリットである、損益繰越の問題と総合課税の問題が解消されます。
このあたりがややこしいのですが、FXで得た利益を個人として受け取ってしまうと、結局総合課税になります。しかし、複利運用を前提として内部留保扱いにすると、個人の総合課税より税率が低くなる場合が多い法人税の税率が適用されます。
法人を立ち上げれば、会社に保有させる形で、FXの利益を株や仮想通貨に分散投資することもできます。
さらに、専業トレーダーの場合は、設立した会社で健康保険に加入することで、国保の保険料より保険料を安く抑えられる可能性もあります。
合同会社がおすすめ
FX取引目的で設立するなら、株式会社である必要はありません。設立費用の安い合同会社で十分です。
最近は法人の無料設立代行サービスがはやっているので、このようなサービスを使えば、設立費用を抑え、かつ簡単に設立することができます。
無料設立代行サービスは、設立手続きを無料にする代わりに、一定期間指定の税理士と契約を結ぶ仕組みです。税理士の顧問料がかかってしまいますが、法人の経理を自力でやるのはかなり大変なので、必要経費と割り切って払ってしまうのがおすすめです。
探せば意外と安い金額で契約できるところもあります。
まとめ
バレた場合のリスクを考えると、税金に関するルールは守るべきです。
もし絶対に税金を払いたくないということであれば、税金が少ない国への移住を検討しましょう。実際大きく利益を上げて海外移住したというのはたまに聞く話ですし、税金を回避しつつ、きっちりとリスク回避したい人は、日本が好きであっても移住を決断しているようです。
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