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初心者でもわかる円高と円安の基礎知識

経済ニュースでは「円高」や「円安」が毎日報道されています。

円高や円安は、私達の日常生活や経済活動に大きな影響を及ぼす可能性がありますが意味を理解している人は少ないのではないでしょうか。

実は円高・円安という言葉は、投資において意味を理解しているかどうかが取引に影響を及ぼすため非常に重要になってきます。

この記事でわかること
  • 円高・円安の基礎知識
  • 円高・円安が起きる原因と投資への影響とは?
  • 円高・円安と金利の関係
  • 円高・円安を予測する方法

この記事では、円高と円安の基本的な知識をわかりやすく解説していきます。

円高と円安の基礎知識

円高

円高とは、日本円の価値が他国の通貨に比べて上昇した状態のことを言います。

この状態になると、海外の商品やサービス・資産を購入する際に必要な円の総額が少なくなります。つまり円高になると輸入が有利になるというわけです。

ただし、逆に輸出には不利な影響をもたらします。なぜなら海外の消費者から見れば、日本製品の価格が上昇し、購入をためらう傾向にあるからです。また円高が進むと海外で稼いだ収入も日本円に換算すると少なくなります。

このため輸出産業や海外にビジネスを展開している企業にとって、円高は大きな課題となります。

円安

その一方、円安とは日本円の価値が他国の通貨に比べて下落した状態を言います。

円安になると海外から商品やサービスを購入する際に必要な円の金額が増えます。つまり、輸入が不利になります。しかしそれは同時に輸出が有利になることを意味します。海外の消費者から見れば、日本出来の価格が下がり購入しやすくなるのです。

また海外で稼いだ収入を日本円に換算すると、円安になるほど得られる円が増えます。したがって輸出産業や海外で事業を展開している企業にとっては、円安は有利な状態となります。

円安・円高が起きる原因

円高・円安を引き起こす主な要素はいくつかありますが、その一つが日本国内の金利です。

金利が低いと投資家はより高い利益を求めて他国へ資金を向けます。その結果、日本円の需要が減少し価値が下がるため円安となるのです。

逆に金利が高くなると、日本への投資が増え円の需要が増えるため円高となります。

またミクロ的には、企業の業績や日本経済の好不調も影響します。大企業の好業績や経済の好調な指標が出ると、海外からの投資が増え円が高くなります。

そしてその他にも戦争・自然災害といった予想外の事象も影響します。これらは経済の安定を損ない投資家の不安を煽るため、安全な通貨とされる円への需要を増やす結果となり円高を引き起こすことがあります。

投資への影響

それでは円高・円安は投資へどう影響するのでしょうか。

金融市場において通貨の価値は一定ではありません。円の価値が変動することで、投資に様々な影響を与えています。円の価値が低下すると円安・上昇すると円高になります。

ここからは、それぞれの状況での投資への影響を詳しく解説します。

円安がもたらす投資に対する影響

通常円安になると資源を輸入する日本の企業はコストが高まりますが、それを逆手にとった投資も可能です。

例えば、輸出向けの企業に投資することで利益を生むことができます。これは円安時には輸出価格が相対的に安くなるため、海外からの需要が高まるからです。

また海外の株式や資産に投資することで、その資産価格の上昇とともに通貨換算の利益も期待できます。

円安は国内の物価を上昇させる可能性もあるため、インフレヘッジとして投資を行うことも考えられます。

円高がもたらす投資に対する影響

一方で円高になると、輸出企業の収益は減少する可能性が高いです。

これは海外から見た日本製品の価格が上昇し、その結果として輸出が減少する可能性があるからです。そのため輸出業者の株や関連商品への投資はリスクを伴うことになります。

しかし円高は輸入品のコストを下げる効果もあります。つまり原油や食品などの輸入依存度が高い業界や、海外の株式や資産への投資は有利になるかもしれません。

円高は外国為替リスクを低減させる効果もあります。それゆえ海外投資を考えている投資家にとっては、戦略的な機会とも言えるでしょう。

円高・円安と金利の関係

まずは円高・円安と金利の関係について見ていきましょう。

外国為替の市場において円の価値が上昇する現象を「円高」、逆に下落する現象を「円安」と呼びました。この円高・円安は様々な要素に影響を受ける一方、それ自体も金利という経済指標に大きな影響を与えているのです。

金利が高ければ金融商品への投資意欲が湧き、逆に低ければ投資意欲は冷え込みます。この動きは経済全体に影響を及ぼし、金利と為替の動きは密接な関係があると言えます。

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円高になると金利はどうなるのか

次に「円高になると金利はどうなるのか」について説明します。

円高が進行すると、それは海外の投資家から見て日本の金利が相対的に高くリスクを取ってでも投資したいというサインであります。したがって円高になると金利は上昇する傾向にあります。

しかし一方では、円高が進行すると逆に日本の企業にとっては海外でのビジネスが厳しくなり、経済全体が冷え込む可能性もあります。

この結果、中央銀行は経済を活性化させるために金利を下げる可能性もあるのです。これらの相反する要素が市場に影響を及ぼしつつ、円高が進むと金利にどのような動きが見られるかは常に注視すべき課題となります。

円安になると金利はどうなるのか

最後に「円安になると金利はどうなるのか」について見ていきます。

逆に円安が進行すると海外の投資家から見れば日本への投資が魅力的ではなくなるため、投資が減ってしまうでしょう。その結果日本の金利は下がる傾向にあると言えます。

一方で円安が進行すると海外からの輸入が増加し、値上がり圧力が強まるため、インフレリスクが増大します。このため中央銀行は、価格安定を図るために金利を上げる可能性もあります。

円安が進行するとこれら複数の要因によって金利にどのような影響が出るかは変動しやすい傾向にあります。したがって円安と金利の関係性を理解することは、為替市場の動向を予測する上で非常に重要なのです。

円高・円安を予測する方法

為替市場は常に動き、その中で円高・円安を予測するその手法は様々です。

それらは経済の動きや政治的な出来事が絡むことが多く、一般の人々には捉えるのが困難です。しかし正しく予測し対策を立てることができれば大きなリスクを回避し、逆に利益を得ることも可能です。

それでは具体的な予測手法は何なのかついて解説します。

経済指標の読み方

経済指標は、円高・円安を予測する上で欠かせない要素です。GDP・物価指数・就業統計などの経済指標を見ることで、一国の経済の健全性を判断することができます。

例えばGDPが伸びている国は経済が活性化しており、通貨価値が上がり円安傾向になるでしょう。

逆にGDPが下がっている場合、経済が停滞し通貨価値が下がり円高傾向になるでしょう。またインフレーション(物価上昇率)が高まると中央銀行は金利を上げる傾向があり、その結果通貨価値が上昇し円安になります。

このように経済指標を知り解釈することは、円高・円安の予測に役立つのです。

政治事件の影響を考える

政治事件によっても為替が揺れることはあります。

例えば政権交代や選挙結果、政策決定などが不透明な場合など投資家はリスクを避けるために安全な通貨に資金を移動します。その結果通貨価値が下がって円高になることもあります。

また戦争やテロなどの重大な政治的リスクが発生した場合も同様です。これらの情勢を見越して、事前に通貨の流れを予測することが重要になります。

そのためには国内外のニュースを日々確認し、情報収集を怠らないことが大切です。円高・円安を予測するには、経済に限らず政治情勢も見るべきなのです。

まとめ

ここまで経済活動において重要な円高・円安の理解と、それに対応する具体的な対応について解説してきました。

円高や円安は、単に為替レートの条件が国内企業や私たち一個人の生活に影響を及ぼすだけでなく、国際貿易、物価、景気、金融政策等の幅広い範囲にわたって影響を及ぼします。そのため、円高・円安の理解は必要不可欠であると言えます。